2016.10.19 Wednesday
過去の展示
松尾たいこ
福馬福鳥
2016年11月11日(金)- 23日(水)11:00-19:00
大胆で意外感のある構図とアクリル絵具のクリーミーな筆致が、松尾たいこ氏の絵画世界の最大の持ち味です。グラデーションを排したポップな作法でモチーフに生き生きとした光彩を差し込みつつ、表裏一体の深い闇をもかいま見せる、そんな優れた空想力が比類なき美しさを画面のうえで輝かせます。見るものの心に長く残る豊かな物語性をもって数々の人気作家たちとの共鳴関係をつくりあげ、イラストレーション界を超えた高い評価を集めてきました。
一方で松尾氏は、福井県において越前の伝統技法「千年色あせないといわれる陶彩技法」と出会い、2014年より「千年陶画」プロジェクトをスタート。土の微妙な状態を肌でとらえ、泥絵の具で絵をのせ特殊な釉薬(うわぐすり)をかけるなど、多くの長期工程を経たのち窯で焼き上げられる技法に大きな可能性を感じ、越前町にアトリエを構えてこのシリーズの制作に取り組んでいます。越前の土の持つプリミティブな魅力に、アートとイラストレーションの第一線におけるキャリアで磨き上げられた彼女の美意識が絶妙にカクテルされて、世界的にも稀有な興味深いジャンルが完成しつつあるのです。
越前焼の器に描いた一点もの
本展は松尾氏にとって、この「千年陶画」シリーズの2年間の創作成果をまとめて披露する機会となります。「福井で作っている」「手にした人の幸福な日常を願う」とのふたつの福を組み入れたタイトルのもと、約25センチの陶板作品や陶器から、素朴な味わいの立体作品、手のひらサイズのダルマなどまで、大小約150点を展示・販売いたします。また、各所で人気を集めている越前の土で作った犬と猫の箸置きなども紹介・販売いたします。
【ギャラリートーク開催】
2016年11月11日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=松尾たいこ 聞き手=佐藤尚之(クリエイティブディレクター)
松尾たいこ アーティスト / イラストレーター
広島県生まれ。第16回ザ・チョイス年度賞鈴木成一賞受賞。著作に「空が高かったころ」、江國香織との共著「ふりむく」、角田光代との共著「Presents」「なくしたものたちの国」がある。数多くの書籍装画や広告の他、六本木ヒルズのグッズパッケージなども手がける。2014年より「千年陶画」プロジェクトを開始。2016年「ブータン しあわせに生きるためのヒント」展(上野の森美術館)のアートディレクションを担当した。東京、軽井沢、福井の3か所を拠点に活動中。