ARTIST OF THE MONTH

2017.11.19 Sunday


ARTIST OF THE MONTH

11月のアーティスト│大森 直・鮎川陽子




2017年11月のアーティストは、大森直氏と鮎川陽子氏のふたりです。大森直氏はファッション誌やライフスタイル誌などの媒体で幅広く活躍しながら、多くのアパレルブランド、企業広告やCDジャケットなどで、数多くの記憶に残るビジュアルイメージを手がけてきました。透明度が高くノスタルジックな光彩も織り込んだ撮影話法はスタイリッシュで、被写体のシルエットをアイコニックに昇華させ、そのニュアンスの力強さの中に気品があることで高く評価されています。


鮎川陽子氏は、国内外でモデルとして活躍中。シーナ&ロケッツの鮎川誠とシーナの長女として生まれた彼女は、1996年にキャリアをスタートした当初から強い存在感で注目を集め、パリコレではシャネルなど一流コレクションに出演し、国内では東京コレクションをはじめ、「Spring」「Olieve」など多くの雑誌に出演。また女優としての活動や、自身のブランドもリリースし、グラフィックデザインやDJ活動も展開するなど、ファッションミューズの枠外でも独特な感性を表現し続けています。


ふたりは、ともに同じ頃キャリアをスタートし、シーナ&ロケッツのリミックス・アルバム「エレクトロケッツ」(2004年)のジャケット写真により知り合います。その後も「ロック」をキーワードにしばしば共鳴してきました。モチーフは異なりながらも、生命へ向けられたユニークなコンセプトと、写真でしか表現しえないアプローチで瞬間美に迫り形にするセンスには、不思議なほどに濃い共通性が感じられます。


2017年11月25日から12月3日まで、このふたりによる初めての展覧会「クロイトリ」を開催。鮎川氏が被写体となって表現する大森氏の写真作品と、鮎川氏のPOPなドローイングで構成される本展は、クロイトリというアイコンを掲げ、「LOVE ROCK LIFE」を表現する構成に。特に鮎川氏の絵のオリジナルを展示する機会としては、初めての場となります。GALLERY SPEAK FORでは、写真を撮る側と被写体、写真とファッション、アートなど、ジャンルを超えてクロスする新しい挑戦をしようとするこのふたりを「ARTIST OF THE MONTH」として選定いたしました。



大森 直 フォトグラファー


透明度高くノスタルジックな光彩も織り込む、
スタイリッシュな写真で活躍。


1972年、宮崎県生まれ。写真スタジオ勤務を経て、ホンマタカシ氏、ZIGEN氏に師事。’97年フリーランスのフォトグラファーになり、企業ブランド広告、ファッション誌やCDジャケット、写真集など幅広い分野で活躍中。


http://www.sunaoohmori.com


大森 直・鮎川陽子「クロイトリ」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=755




鮎川陽子 モデル / クリエイター


ファッションミューズにとどまらず、
アートや音楽で独特な感性を表現。


1976年、福岡県生まれ。’96年、ファッションモデルとしてデビュー。国内のファッション誌だけでなく、パリコレでシャネルのショーに抜擢されるなど国内外でも活躍。また、イラストレーションやグラフィックデザインなどを手がける。出演映画「星屑兄弟の新たな伝説」(手塚眞監督)が2018年に公開予定。


http://yobe.com


大森 直・鮎川陽子「クロイトリ」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=755



ARTIST OF THE MONTH

2017.09.30 Saturday


ARTIST OF THE MONTH

10月のアーティスト│谷川千佳 




2017年10月のアーティストは、アーティスト / イラストレーターの、谷川千佳氏です。GALLERY SPEAK FORでは「光の記憶」展(2014年)と「約束」展(2015年)が好評だった彼女。所在なげで、物憂い表情をたたえた少女たちのポートレートを主軸に作品を数多く発表し続けています。細い手足や、優美な曲線の長い髪など、伝統的でファンタジックな少女画の美質を備えつつ、宙を漂うような絵の主人公の視線から彼女自身の空想力の深さに息をのみ、さらにはこちらの深層心理までを覗き見られるような、かすかな狂気を感じる瞬間も。そのフィアーな印象を濃厚に放つアクリル画の魅力は、三津田信三氏のミステリー単行本「どこの家にも怖いものはいる」「わざと忌み家を建てて棲む」の装画でも存分に味わうことができます。


2013年頃からは、より透き通るように、かそけきニュアンスを放つ淡いパステルトーンの色彩感をもった少女画も制作し始めました。記憶や夢など、無形のイメージで自画像のような少女のポートレートをふんわりと包みつつ、直線的な図形、無機質な線、漆黒の闇のイメージなど、多重的コラージュのような画面構成の妙も楽しめる絵のラインを数多く発表し始めました。さらに風景との組み合わせで、絵本やコミックのワンシーンのような作画、マンガ作品まで試みるなど、毎シーズンごとに新鮮な着想力を見せてくれます。


2014年からアーティストとして独立し、制作と発表、販売を力強く続けている谷川氏。日本各地での個展開催やグループ展参加も精力的に続けており、また海外のアートフェア、グループ展にも多数参加しています。少女画の、特にセーラームーン世代と言われるアーティスト、イラストレーターが多数、厚い層をなしている中にあって、2D絵画の美と、自分自身にしかできない構成の深みを真摯に希求し続け、どのような機会であっても「流す」ことをしない態度は、各地のギャラリー、ショップで高く評価されています。ライブステージの装飾の絵、テキスタイルの図柄制作なども手がけるなど、活動の幅も年々広がってきています。大阪で今月開催される最新個展「名前はいらない」(2017年10月6日〜26日、大阪・DMOARTS)では、彼女の絵の最新バージョンとその周辺が全て提示される予定。


さらに大きなブレークポイントが間近に迫っていると評価し、GALLERY SPEAK FORでは「ARTIST OF THE MONTH」として選定しました。GALLERY SPEAK FORで展示歴のある作品を中心に、人気作の中から比較的こぶりなサイズの木パネル貼り作品をピックアップして当サイトにて紹介・販売いたします。



谷川千佳(たにかわちか)
アーティスト / イラストレーター


夢や記憶を、多層的なコラージュ感覚のなかで表現。
本の装画やテキスタイルまで、活動の幅と質に高い評価。


1986年、富山県生まれ。2010年、神戸大学発達科学部を卒業後、デザイン系専門学校勤務を経て、フリーランスのアーティスト / イラストレーターとして活動を開始した。国内外で作品を発表し続けるほか、三津田信三「どこの家にも怖いものはいる」(中央公論新社)、乾ルカ「奇縁七景」(光文社)の装画を担当するなど、幅広く活躍中。短編漫画の制作や、音楽アルバムのジャケット、ライブステージ装飾のイラスト、テキスタイルの図案提供なども。最近の主な個展に「咲く空」('16年、名古屋・スペースプリズム)「あかいひかりは呼吸する」('17年、ブックギャラリーポポタム)、「瞬き」(同年、大阪・ondo)がある。


http://www.chikatanikawa.com


谷川千佳さんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1692001&sort=n


「タグボート」でも作品が購入できます。
http://ec.tagboat.com/jp/products/list.php?author_id=100105&tngs_flg=0





谷川千佳 個展「名前はいらない」


アクリルを用いたペインティング作品(関西では未発表。2017年制作のもの)から約15点を展示・販売する。会期にあわせ新作品集も発売予定。その他、オリジナルトートバッグやTシャツなども販売される。会期中の週末には、ドローイングイベントなども。

会期 : 2017年10月6日(金)- 26日(木)会期中無休 
10:00-21:00(最終日のみ18時まで)
レセプションパーティ 10月6日(金)18:00 - 21:00
会場 : DMOARTS
〒530-8558 大阪市北区梅田3-1-3 LUCUA 1100 7F

<谷川千佳氏のステイトメントより>
名付けられない曖昧な存在や記憶に、日々絵を通して向き合っている。
言葉にできない感情や空気をかたちにしようとすればするほど、
それは目覚めかけの夢のように、イメージは遠く薄れて行き、どこまでも掴みきれない。
そんな曖昧な世界を、純粋に描くと言う行為に改めて向き合い、曖昧なまま受け止めたいと思った。
それらは全て、自身が“今”描かなければいけないと思う切実な風景です。



ARTIST OF THE MONTH

2017.09.04 Monday


ARTIST OF THE MONTH

9月のアーティスト│福津宣人




2017年9月のアーティストは、画家 / アーティストの福津宣人氏です。


多くの画家は絵を描くにあたり、モチーフを見つめ、フォルムや色彩情報を受けとめて自分なりの構想と描画タッチで造形していきますが、福津氏の場合には、そのノウハウやマナーが一定ではありません。多くの場合、パターン・ペインティングという絵画様式をとり、「パターンストローク」シリーズでは、筆やペインティングナイフを使いながら、雪の結晶の生成のように六角形の対角線を結ぶ手の動きだけで描いています。また別のシリーズではアルキド樹脂を用い、絵具の硬化過程によって偶発的に生まれる様々な模様によって風景などを表現しています。絵具が乾くまでにかかる時間や、混ざり合わないことによる流動性を効果的に援用しているのです。


そうした方法論は一見遠回りな描画法に見えますが、描写対象の「具体」と、パターンという「抽象」の間にある無限の広がりへと見るものを手招きし、インプロビゼーションに似た感性の震えと、絵の対象との邂逅の感動を一層強くもたらしています。彼の絵画思想やプロセスは既存概念を超えている分、異分野とのフュージョンの余地も大きく、建築家や照明デザイナーたちとのコラボレーションも数多く手がけています。


2017年9月には、約3年ぶりとなる個展「溶けてゆく模様」を開催(恵比寿・ALにて、9月16日〜26日まで)。GALLERY SPEAK FORでは、福津氏のユニークな創作世界の今後に秘められた可能性と、描く過程で偶発的に生み出された模様や素材などへの興味を捨て去らず、常に変容への呼吸を止めない姿勢を高く評価して、「ARTIST OF THE MONTH」として選定。近作から自薦の作品を中心に、当サイトにて紹介・販売いたします。



福津宣人(ふくつのぶと)
画家/アーティスト


パターン・ペインティングにこだわった独自の技法。
濃厚でフュージョン感覚に満ちた絵の美しさは見事。


1969年、宮城県生まれ。東京都在住。映像クリエーターとして活動した後、画家の領域へと移行し、グラフィックパターンを使った独自の絵画様式を追究。建築家とのコラボレーションを含む着想豊かなアプローチは海外各都市での展覧会でも注目を集める。近年の個展に「光あるところ」(2013年、HAGI ART)、「光の模様」(2014年、GALLERY SPEAK FOR)がある。「佐久島 遍路展」(2012年、三河・佐久島アートプラン21)など、グループ展にも多数参加。2016年、春日大社国宝殿にて照明デザイナー岡安泉氏による常設インスタレーションの映像を監修。


「溶けてゆく模様」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=750


福津宣人さんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1677475&sort=n



ARTIST OF THE MONTH

2017.08.02 Wednesday


ARTIST OF THE MONTH

8月のアーティスト│ERICO




2017年8月のアーティストは、ERICO氏です。耽美的な面立ちの女性たちが、彼女の絵に頻出するモチーフ。一見してビューティ系のイラストレーションのようにも見える美人画ですが、どこかメロウでメランコリックなトーンを大切にしながら細かく描き込まれています。水彩色鉛筆とインクペン、アクリル絵具を駆使して描くその世界を、彼女は「乙女画」と定義。しかし、そこにはユニコーン、キメラなど、乙女とは対極的な少しダークな世界の暗喩も隠し込め、甘辛ミックスのファンタジックな魅力となって多くのファンを引きつけています。紙やキャンバスを超え、鏡やバッグなど様々な素材に絵を描き続けているのも特徴的で、そのグラフィティ系のアクティビティと、女性らしい優美な描線との絶妙なハイブリッドが評価されているところです。


2012年から本格的に創作活動を開始。各所でのライブペイントやドローイングイベントなどで着実に支持を広げてきました。画面全体から漂う懐古的なロマンティシズムの香りと、余韻を感じさせる余白の美もアパレルブランドとの相性がよく、キャンペーンビジュアルやインストアイベントなど多くのコラボレーションを手がけています。


2017年8月には、東京では初の本格的な個展となる「OTOME MANDARA」展を開催(恵比寿・ALにて、8月1日〜9日まで)。「OTOME MANDARA」とは、彼女が一貫して希求しているテーマであり、ひとつずつのキャッチーな絵が、関連し合って連なり曼荼羅のような世界を構築して見るものを包み込みたいという絵画観を表しています。大阪をベースに各所で行っている展示活動では、額装オリジナル作品、マグカップやステッカーなどの商品を販売するだけでなく、オーダーペインティングイベントも開催し、新しいファンとのコミュニケーション濃度を徐々に高めているところです。GALLERY SPEAK FORでは、彼女の創作世界の安定性と、アートとしての展開の伸びしろの大きさに着目し、「ARTIST OF THE MONTH」として選定し、広くお薦めすることにいたしました。



ERICO アーティスト


ダークな世界とのミックスによる乙女画を確立。
多くのコラボを通じて独自の領域を開拓中。


1980年、大阪府生まれ。大阪芸術大学付属大阪美術専門学校を卒業後、会社勤務を経て、2012年より活動を開始。大阪を拠点に国内外で展示を続け、ライブペイントやドローイングオーダーなどのイベントも各地で好評を博している。近年の個展に「OTOME MANDARA」(2015年〜2016年、大阪・siroiro.、東京・Cabaret)など。TABLESの「ROCK chocolate」パッケージを手がける他、あちゃちゅむ、fleamadonna、CLEOPATRAfigなどアパレルブランドとのコラボレーションワークも多彩に展開。


http://ericoworld.jp


「OTOME MANDARA」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=747


ERICOさんの作品は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1670547&sort=n



ARTIST OF THE MONTH

2017.06.24 Saturday


ARTIST OF THE MONTH

7月のアーティスト│ 長谷川洋子




2017年7月のアーティストは、イラストレーターの長谷川洋子氏です。フランスのアンティークレースやスパンコール、京都の大正着物の生地など様々な素材に加え、アクリルガッシュやマニキュアなどもミックスした独特なコラージュ技法で知られる長谷川氏。バレリーナやお城、遊園地や星座など、女性たちが憧れる夢物語のワンシーンを、汲めども尽きぬ構想力によって次々と絵に仕上げていきます。アンティーク素材だけが持ちうる希少なテクスチュアと輝き、もしくは画材の色とニュアンス、いずれかひとつだけでは成立しないのが彼女の絵の特徴であり、各素材への愛があってこそ、洋の東西と時代を超えた素材同士の奇跡的コラボレーションを仕掛けうるのです。ビジュー感に満ちたリッチで華やかな実画面へ結実させているその画法は、平面上にクチュールドレスを紡ぐような作法とでも例えられるでしょう。


特にそれらの絵はファッションや美容系のクライアントと親和性が高く、2010年にはイヴ・サンローラン・ボーテに日本人作家として初めて起用され、限定商品のパッケージを手がけたことで大きな話題に。百貨店、コスメブランドのポスターなど記憶に残るビジュアルワークも多数制作してきました。2014年には半年間、欧州を旅して素材と資料を収集。クリエイターとしての成長を果たし、いっそう活躍の場を広げています。


2016年の個展「金色のノクターン」では大小の額装原画、約60点を展示したほか、ビンテージの一輪挿しや戦前の和食器など、こだわったアイテムにフランスの特殊画材で絵を施したグラスペイント作品を発表し、大好評を得ました。さらに、田辺聖子、高殿円、角田光代、山本文緒、林真理子、加藤千恵など人気女流作家たちの書籍装画を手がけ続けています。GALLERY SPEAK FORでは、彼女の創作世界の安定性と、他の追随を許さない技法の優位性に大きな可能性を確信し、「ARTIST OF THE MONTH」として選定。近作から自薦の額装コラージュ作品を中心に、当サイトにて紹介・販売いたします。



長谷川洋子 イラストレーター


素材の希少性や品質にこだわったコラージュ技法。
ビジュー感に満ちたリッチで華やかな描画世界。


静岡市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科を卒業後、アパレル企業勤務を経て2006年よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始。「SPUR」「VOCE」「日経WOMAN」などの雑誌や書籍、広告、カタログ、商品パッケージなどを多数手がける。装画を担当したおもな書籍に「Tanabe Seiko Collection1〜8」(田辺聖子著、ポプラ社)、「カーリー」シリーズ(高殿円著、講談社)など。TIS公募での連続入選(第6、7、8回)の他、第1回「イラストノート」ノート展大賞など受賞多数。最近の個展に「金色のノクターン」(2016年、GALLERY SPEAK FOR)。


http://www.haseyoko.com/


長谷川洋子さんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1636789&sort=n


「金色のノクターン」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=693


長谷川洋子さんのインタビュー記事は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=f54



ARTIST OF THE MONTH

2017.05.21 Sunday


ARTIST OF THE MONTH

6月のアーティスト│伊島 薫・伊島薫太朗




2017年6月のアーティストは、伊島薫氏と伊島薫太朗氏のふたりです。’80年代からフォトグラファーとして活動を開始し、とりわけミュージシャンのポートレートやCDジャケットで知られ、またファッション写真や広告写真を多数手がけてきた伊島薫氏。’94年には、実験的なファッション誌「Zyappu」(ジャップ)を創刊して、編集の異才を発揮しつつ後のクリエイティブ界に多くの才能を輩出しました。「最後に見た風景 - Landscapes with a Corpse」「あなたは美しい」などの有名作品は欧米各地の個展でも紹介され、高い評価を得ています。一方、伊島薫太朗氏は、ファッションを学びながら同時に写真作品も制作するようになった新鋭アーティスト。伊島薫氏を父に持ちながら師弟関係は全くなく、独学で写真を学び作品を創り続けてきました。


蚊やハエ、アブなど身の回りに現れては一瞬のうちに殺された虫たちを、デジタルコンパクトカメラの顕微鏡モードで丁寧に見つめ葬る伊島薫氏の「虫螻」(むしけら)。そして花弁が落ちていく瞬間のはかない造形美を丹念に追い続けた伊島薫太朗氏の「落花」(らっか)。この父子それぞれのシリーズを初めてあわせて紹介する二人展が、6月に開催されることになりました。モチーフは異なりながらも、生命へ向けられたユニークなコンセプトと、写真でしか表現しえないアプローチで瞬間美に迫り形にするセンスには、不思議なほどに濃い共通性が感じられます。


GALLERY SPEAK FORでは、今こそ着目したいこの父子にフォーカスをあて、「ARTIST OF THE MONTH」として選定することにいたしました。写真展に合わせて2冊同時に刊行される写真集を、当サイトにて販売いたします。



伊島 薫 アーティスト


「最後に見た風景」「あなたは美しい」など、数々の問題作。
欧米各地でも、そのユニークな創作性に高い評価。


1954年、京都府生まれ。’80年代からフォトグラファーとして活動を開始。ミュージシャンのCDジャケットやポートレート撮影、ファッション誌、広告写真を数多く手がける一方、’94年に実験的なファッション誌「Zyappu」を創刊し自ら編集長に。代表的な作品シリーズに「最後に見た風景 - Landscapes with a Corpse」、「あなたは美しい」など。欧米各地でも個展を開催し高い評価を得ている。最近の個展に「あなたは美しい」(2017年、京都場)。


伊島 薫・伊島薫太朗「二人展」については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=744


伊島 薫さんの写真集は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?pid=118139964




伊島薫太朗 アーティスト


ファッションとアートをシームレスにつなぎ合わせる美意識。
いよいよ表舞台に登場する新鋭。


1988年、東京都生まれ。エスモード東京校、ここのがっこう、英国などでファッションデザインを学ぶ。写真は13歳から撮り始め、独学で習得。2005年より作品制作を開始した。


伊島薫太朗さんの写真集は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?pid=118140006



ARTIST OF THE MONTH

2017.04.20 Thursday


ARTIST OF THE MONTH

5月のアーティスト│越後しの




2017年5月のアーティストは、アーティストの越後しの氏です。人物と動物、または人形などが絡み合う不思議な絵の世界。大音量でこちら側にアピールしてくるような話法ではありません。静かに、想いが伝わりますように、と祈っているような絵は、日常のなかで彼女の心を通り過ぎた、小さな感情の起伏を描くという点で、自画像のようだと紹介されています。現実と奇妙に紐付いたリアルなしぐさや構図であり、SF的ではありませんが、登場人物たちの、どこかユーモラスで可愛らしい自省の姿は見るものに、しみじみと伝播しています。


しばしばモチーフとなる、人形のように切れあがった眼に、少し頬の赤い女の子や少年たちには民芸品的な可愛らしさがあります。アクリル画は独特の深みがある上品な彩色で人気。また、複雑な諧調の黒を活かし、少枚数ずつだけ刷られる紙版画作品も、ひとつずつ刷りが微妙に異なり、コレクター筋の高い評価を受けています。ほぼ独学で絵画知識を身につけたのち、各種のアートコンペで高い評価を獲得して以降、仙台や東北各地の愛好家たちから熱心に支持されてきた越後氏ですが、最近では東京から中国、台湾などへも共感と支持の輪が広がりつつあります。


2017年4月29日から5月10日まで、約1年ぶりとなる東京での個展「思わせぶりな沈黙」を開催します。机上にただ置くだけでも楽しめるという、彼女のオリジナル「置き作品」シリーズは、描くそばから次々と売約となるほど大好評です。そのシリーズの新作はじめ、今回の同展では絵から生まれた洋服作品も紹介されます。GALLERY SPEAK FORでは、彼女の制作の安定性と創作の広がりに大きな可能性を確信し、「ARTIST OF THE MONTH」として選定。ギャラリーでピックアップしたオリジナル商品を中心に、当サイトにて紹介・販売いたします。



越後しの アーティスト


仙台の小さなギャラリーを拠点に、安定的な制作環境。
奇想×牧歌ミックスの画風には、海外からも反響多数。


宮城県生まれ。画材店勤務の1995年より独学で絵の制作を始め、98年にアートギャラリー「GALLERY ECHIGO」を仙台市にオープン。以後、仙台を拠点に創作活動を続けている。最近の主な個展に「あいをうたう」('15年、仙台・CROSS ROAD)、「ゆめかうつつか」(’16年、GALLERY SPEAK FOR)がある。その他グループ展に多数参加。おもな受賞歴に「TURNER ACRYL AWARD 2000」青葉益輝賞、「SENDAI ART ANNUAL 2005」飯沢耕太郎賞・明和電機賞など。


http://www.onyx.dti.ne.jp/geg/GALLERY_ECHIGO/


越後しのさんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1601340&sort=n


「思わせぶりな沈黙」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=738


「タグボート」でも置き作品シリーズ他、たくさんの作品が購入できます。
http://ec.tagboat.com/jp/products/list.php?author_id=100060&tngs_flg=0



ARTIST OF THE MONTH

2017.03.20 Monday


ARTIST OF THE MONTH

4月のアーティスト│山下良平




2017年4月のアーティストは、画家 / イラストレーターの山下良平氏です。スプリンターやスイマー、ダンサー、スケートボーダーなど、アスリートたちのイメージを描き続けていることで知名度の高い山下氏。それぞれの競技・スポーツの核心を踏まえたアングルを選べるセンスは、彼自身のアスリート経験が原点となり、動画制作の素養も効いています。「Tarzan」などの雑誌や書籍装画、広告などで活躍を続ける一方、各所での展示やライブペインティングでも個性をアピール。最近では「横浜マラソン2015」をはじめとする多くのスポーツイベントでもビジュアルアートを担当し、活動の場はさらに拡充しています。


風を切り、水を踊らせ、大地がしなうような人間の身体動作の美が、大胆な構図と着想豊かな筆致で描写される彼の絵は、まさにドラマティック。しかしクライマックスや躍動だけでなく、静のモーメントをも表現しはじめた時、さらに大きく彼の世界観が広がりました。競技者の視野を風景に置き換えたり、チルアウト的な静寂も題材に選ぶなど、アイディアの豊かな振り幅に見るもののアドレナリンを沸き立たせる誘引力があります。2016年に渋谷・eplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて開いた「ALIVE!」展では、音楽と彼のアートを融合させる優れたパフォーマンスを披露し、アート体験の新しい可能性を示しています。


GALLERY SPEAK FORでは、進境著しい山下氏の今にフォーカスをあて、「ARTIST OF THE MONTH」に選定しました。今回、販売するのは彼のクロッキーシリーズ。作品集「Almond Eyes」(2015年)に収録されているように、女性のフォルムと躍動する身体も彼に選ばれる主要なモチーフです。ヌードやネイキッドという古めかしいジャンルを超えた新しいテーマであり、彼の個展でも人気を集めています。普段はアクリル絵具による作品が主体ですが、クロッキーはその絵画世界のエッセンスがシンプルな描線の中にみなぎっており、シート販売のためさらにお求めやすい価格になっていることも魅力です。山下氏自薦のクロッキーの他、作品集3種も当サイトで販売を開始いたします。



山下良平 画家 / イラストレーター


「躍動」を描き、アスリートビジョンや音楽と絵の融合形へ。
テーマの深さと広い振り幅、グラフィカルな楽しさに人気。


1973年、福岡生まれ。大学で映像を中心としたビジュアルコミュニケーションを学び、福岡でのストリートアート活動を経て、2002年、横浜に拠点を移して画家 / イラストレーターとなる。「Tarzan」などの雑誌、CDジャケット、ナイキやソニーなどのビジュアル制作を手がける一方、SUMMER SONICでのライブペインティング、国内外のグループ展などにも精力的に参加している。2014年、個展「MOMENT」を福岡市・TAG STA GALLERYと、GALLERY SPEAK FORにて開催した。「横浜マラソン2015」の公式ビジュアル制作を担当。アートフェア「UNKNOWN ASIA」(2015年)にて「イープラス賞」受賞。渋谷・eplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて「ALIVE!」展(2016年)を開催。


http://www.illustmaster.com/


山下良平さんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1583467&sort=n


「MOMENT」展についてはこちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=634


「タグボート」でも作品が購入できます。
http://ec.tagboat.com/jp/products/list.php?author_id=1108&tngs_flg=0



ARTIST OF THE MONTH

2017.02.20 Monday


ARTIST OF THE MONTH

3月のアーティスト│MARCO




2017年3月のアーティストは、フォトグラファーのMARCO氏です。女性ファッションやアーティストたちのポートレート、旅の写真などを数多く手がけているMARCO氏。ミュージシャンやファッションモデル、ブランドなどとの共作も数多く、また映像など写真と隣接するジャンルにも活躍の場を広げ、多くのファンを獲得してきました。最近では佐藤健さんや、広瀬すずさんのカレンダーも彼女の撮影によって制作されています。一方、10代のモデルたちとセッションした写真集「Spring Pedals by lovely hickey」を2014年に刊行し広く話題を集め、また、2016年1月には写真展「Innocent Blue」(GALLERY SPEAK FOR)も開催して、好評を博しています。


ヴィヴィッドな色彩バランスと、フットワークの軽さを活かしたユニークな画面構成力が彼女の作品の本質的な魅力になっており、彼女のファインダーを通すことで人物も風景も、まるでファンタジーのひとコマのように仕立てられて、見るものの心へ転送され躍動。ガーリーな明るさ、可愛らしさだけでなく、その裏に張りついた醒めた眼差しと私小説的なインティマシーとの振幅も深い魅力となっています。


蜷川実花氏に師事した後にフリーランスとなった彼女。プリント技術は蜷川氏のもとで学んだことがなおベースになっているといいます。「Innocent Blue」展では、初めてデジタルカメラを持ち、南の離島へと旅をして撮影した水中写真シリーズも発表しました。大きな重い専用機材で、撮影イメージどおりの場を探しながら 苦心の末に撮影した同シリーズは、エメラルド色の海水がメランコリックにきらめいて、不思議な色合いを放つ優れた作品となりました。


GALLERY SPEAK FORでは、MARCO氏の独特な写真作品によりフォーカスをあて、その安定した購買機会を提供できるよう「ARTIST OF THE MONTH」として選定。「Innocent Blue」展で展示された人気作の中から彼女自薦のカットや雑貨類もピックアップして、当サイトにて紹介・販売いたします。



MARCO フォトグラファー


雑誌や広告などでファッション、ポートレート写真の実績多数。
独特な色彩トーンに包まれた、グラフィカルな表現力に注目。


1982年、長野県生まれ。慶應義塾大学在学中より蜷川実花氏に師事し、2008年よりフリーランスとして活動開始。雑誌・書籍や広告などのファッション、ポートレート写真の他、PVなども手がけ幅広く活躍中。写真を担当した書籍に「竹内涼真 : Ryomania」「瀬戸あゆみスタイルブック : KIDULT GIRL」「松井玲奈 : ヘメレット」他。その他、佐藤健カレンダー、広瀬すずカレンダーなど。2014年に初めての写真集「Spring Pedals by lovely hickey」を刊行した。最近の写真展に、「Lovely Hickey」(2013年、LAPNETSHIP)、「Innocent Blue」(2016年、GALLERY SPEAK FOR)。


http://marco149.com


MARCOさんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1565767&sort=n


「Innocent Blue」展についてはこちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=676


「ARTISTS」ページに、MARCOさんのインタビュー記事を掲載。
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=f9



ARTIST OF THE MONTH

2017.01.20 Friday


ARTIST OF THE MONTH

2月のアーティスト│yutaokuda




2017年2月のアーティストは、アーティストのyutaokuda氏です。豚やリス、猫や蝶など、細かい紋様や毛並み、手足の鈎(カギ)などまで、ディテールの宇宙を備えた生き物の形状を、極細のミリペンを用いて全て肉筆で一本ずつ描く独特のスタイルを構築しています。生命の形の不思議な魅力に視線を丁寧に這わせながら、一方で豚にダイヤを合わせるなど、異質なイメージを交錯させる構想力にも稀有な才能が容易に見てとれるでしょう。


使っている色は、ほとんどスミ一色。それを引き立たせるためのゴールドがところどころに挿されていますが、モノトーンゆえの痩せた印象は全くありません。それぞれのモチーフを捉えるクールな視座と描き込みの濃淡、余白の使い方などによって、見るものは鮮やかな色彩と同等のオーラを見て感じられる、そのような絵の世界を彼は「カラフルブラック」「色とりどりの黒」というキーワードで表現しています。ロンドンでファッションを学んだ後、約5年間、有名ブランドのデザイナーとして活躍した後にアーティストへ転身したというバックグラウンドも、その洗練されたコンセプトや画角内空間の創造力に反映されているのでしょう。


2016年だけで、都内においてなんと5回もの個展を開催しました。一枚に100時間単位の時間をかけた作品を何枚も手がける一方で、実験精神にも富み、しかも広く自分の世界を広めていこうとするバイタリティから、今後の活躍に大きな期待が持てるでしょう。Nehanne Mihara Yasuhiro、REGAL SHOESなど著名ブランドとのコラボレーションも次々と実現しています。GALLERY SPEAK FORでは彼の創作の可能性を見込み、「ARTIST OF THE MONTH」として選定。彼の代表作、人気作の中から比較的こぶりなサイズをピックアップして当サイトにて紹介・販売いたします。



yutaokuda
アーティスト


ファッションブランド「TAKEO KIKUCHI」の元デザイナー。
長大な時間をかけた渾身のペン画で今、評価上昇中。


奥田雄太。愛知県生まれ。ロンドンのイスティチュートマランゴーニ、MAファッションデザインコースを2010年に卒業後、yutaokudaとして創作活動を開始。2012年よりファッションブランド「TAKEO KIKUCHI」にてデザイナーとして勤務後、2016年退社。以後、精力的に作品制作と発表活動を続けている。最近の個展に「Colourful Black」(2016年、表参道・REFECTOIRE)など。「Independent」や「デザインフェスタ」など、アートフェアやグループ展などにも参加。Nehanne Mihara Yasuhiroなどファッションブランドとのコラボレーションも手がける。神奈川県在住。


https://yutaokuda.jimdo.com


yutaokudaさんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1548112&sort=n


「タグボート」でも作品が購入できます。
http://ec.tagboat.com/jp/products/list.php?author_id=100349&tngs_flg=0


「ARTISTS」ページに、yutaokudaさんのインタビュー記事を掲載。
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