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2015.11.16 Monday

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谷川千佳

約束


2015年12月11日(金)- 26日(土)11:00-19:00


優美な輪郭曲線で描かれる、きゃしゃな佇まいの女の子。それらと異質なモチーフとの絶妙なフュージョンで構成されるのが谷川千佳氏の絵の最も特徴的な美質です。絵のなかの女性たちの、宙を舞うような視線と、そこから発信される幻想的なビジョン。オーソドックスな日本の少女画の流れに根ざしつつ、現在に生きる彼女自身のアイデンティティとその移ろいをぼんやりと、しかし明瞭な像を結びながら声なき声として伝えてくる、そんなオーラ溢れる構想力が見るものの心を包み込みます。


柔らかいタッチのアクリルガッシュは、時に透き通りそうなほど淡いパステルトーンで、また時には宇宙の漆黒を思わせる濃厚さで緩急自在に展開されており、最近ではあえて、よりグラフィカルでイラストレーション的なドローイング表現へも振り幅を広げてきました。主要なアートフェアやグループ展などにおいて高く評価される一方、本の装画やCDカバーなどのコミッションワークも積極的に手がけています。今、もっともスリリングな進展が注視されている作家のひとりと言えるでしょう。


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"星の声"


本展は、大阪で2015年8月に開かれた彼女の同名展を受けて企画されたもの。未来を見つめる言葉として「約束」をとらえ、「現実を受けとめつつ、その哀しさと向き合いながら、それでもその先を向いて強くあることを願い続けたい」という谷川氏自身の思いが込められています。大阪展以降に新しく描かれた新作を中心に構成。アクリル画とドローイングシリーズも合わせ、50点あまりを展示・販売いたします。また、新作画集の他、トートバッグやマグカップなどのオリジナルアイテムも紹介・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2015年12月11日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=谷川千佳 聞き手=坂野公一(グラフィックデザイナー)



谷川千佳(たにかわちか)アーティスト / イラストレーター


1986年、富山県生まれ。2010年、神戸大学発達科学部を卒業後、デザイン系専門学校勤務を経て、フリーランスのアーティスト / イラストレーターとして活動を開始した。国内外で作品を発表し続けるほか、三津田信三「どこの家にも怖いものはいる」(中央公論新社)、乾ルカ「奇縁七景」(光文社)の装画を担当するなど、幅広く活躍中。最近の主な個展に「光の記憶」('14年、GALLERY SPEAK FOR)、「約束」('15年、大阪・ondo)がある。画集「ゆめにさまよう」('14年)、「約束」('15年)を発表。


http://www.chikatanikawa.com


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2015.11.03 Tuesday

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ソフィー エ ショコラ

Sparkle days


2015年11月27日(金)- 12月9日(水)11:00-19:00


"フレンチガールズ ヴィンテージ"をテーマに据え、1点ずつ手で生み出すクラフツマンシップを大切にしたアート感覚の雑貨とファッションアイテムを創り続けているソフィー エ ショコラのふたり。甘いパステルカラーや水玉模様をミックスさせたアイテムたち、華やかなキラキラ素材をふんだんに取り入れたビジュー感は女性ファンからの熱い支持を集め、世界でも希有な特徴を持つマイクロブランドを確立してきました。パリの蚤の市やフランスの田舎町で探し当てたレアファブリックやパーツ類を使うこだわりを大切に、イラストレーターやアクセサリー作家、フォトグラファーなどともコラボ活動を通して手を携えながら、その世界観をますます広く発信しています。


本展は、彼女たちにとって約1年ぶりとなる個展。「クリスマスが始まる前のきらめく女の子の気持ちを表現」するべく「ケーキ屋さんや洋服屋さん、花屋さんなどのショップ巡りとそこでの出会い」をテーマに、オリジナルのアートワークや新作雑貨類を中心に展示。ギフトとしてすぐ使っていただける自薦アイテムを豊富に紹介いたします。また、ユニット活動がスタートしてから5年の節目にあたる今年、そのクリエイションの本質をより深く伝えられる構成を目指します。


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ポーチは各1点もの


描きおろし新作のキャンバス画やドローイング、コラージュワーク、写真など約50点を展示・販売いたします。また毎年人気の1点ものポーチやスウェット、靴下、ストール、キャンドルなどの新作アイテムや定番商品の他、人気イラストレーターとのコラボ作品なども多数販売いたします。


 



ソフィー エ ショコラ(Sophie et Chocolat)アーティスト・ユニット


代官山の人気ショップ「カーリーコレクション」の元デザイナー、畑中京子と小野寺千絵子のふたりが独立し、2010年より活動を開始。French Girls Vintageをテーマとするブランドとして、ファッション小物などオリジナル商品を数多くリリースしている。オンラインショップ以外にも東急プラザ表参道原宿「hands be」などの店舗などで展開中。アパレルブランドとのコラボレーションやワークショップも好評。最近の個展に「french girls school」('13年、GALLERY SPEAK FOR)「パリジェンヌの1週間」('14年、同)がある。


http://sophieetchocolat.jp/


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2015.10.17 Saturday

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清水智裕

室内楽


2015年11月13日(金)- 25日(水)11:00-19:00


淡く物憂い彩色で、物語の一場面のように細かく描き込まれた風景。曇天のなかを飛行機が滑空したり、原野でクマが立ち上がったり、満天の星空が湯船を覆ったり、と清水智裕氏の絵筆はリアルなエピソードと奇想世界との間に広がる曖昧な宇宙を、まるで永遠に残そうとするかのように黙々とキャンバスへ展開しています。画面に必ず登場するのは、髪を左右に編み込んだ丸顔の少女たち。ときにアニメのヒロインのような軽さを、またある時は古い家族写真に似た重さを伴った存在感で、絵のビジョンの奥深くへと私たちの心を誘います。


微笑を浮かべた少女たちの謎めいた美しさが奇妙に心に残るのは、清水氏自身のアバターとして告白役を担い、また日常生活で抑圧されている私たちの冒険心理へのナビゲーターになり得ているゆえなのかも知れません。緩急の豊かな画面構成力に、版画やアニメのセル画を連想させるタッチもあえて混在させる、カジュアルな印象の筆致がミックス。それが全て油彩で表現される新鮮な魅力は、近年、国内外の個展やアートフェア、グループ展で熱心なファンを獲得するようになりました。


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"鳥使い"(ミクストメディア)


本展は、清水氏にとってGALLERY SPEAK FORでは初めての個展です。これまでの絵の多くには、シチュエーションを限定しない広い空間がありましたが、今回は少女の居場所を部屋のなかに設定。室内の様々なパーツとの呼応で逆に膨らむ空想の広さを印象づけるシリーズを披露します。油彩画の新作のほか、ドローイングやコラージュなど合わせて約50点を展示・販売いたします。また本展のために制作するノートやブロックメモなどのオリジナルグッズも紹介・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2015年11月13日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=清水智裕 聞き手=山崎聡子(歌人)



清水智裕(しみずともひろ)画家


1977年、岩手県生まれ。企業勤務を経て、2008年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。'08〜'10年まで「ワンダーシード」にて連続入選し注目を集める。近年の個展に「霧が晴れたら新世界」('14年、Azabujuban Gallery)、「それを楽園とせよ」('14年、銀座三越)、「惑星Qの定時連絡」('15年、大阪・DMO ARTS)など。シンガポールや香港での展示参加も。装画を手がけた書籍に「手のひらの花火」(山崎聡子著、版画研究社)などがある。


http://smztmhr.wix.com/shimizutomohiro


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2015.10.08 Thursday

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buggy

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2015年10月30日(金)- 11月11日(水)11:00-19:00


セレブリティたちをモチーフにした迫力ある肖像画で知られる、buggy氏。アクリル画を主体に、彼らが最も高いテンションで輝くファッション誌の1ページや映画のワンシーン、社交界の名場面などを絵に残し続けています。女優やスーパーモデル、ミュージシャンやアーティストなど、時代を彩ってきた彼らはそのままの姿でbuggy氏の絵となる栄誉に浴するわけではありません。広く大衆の網膜に染み渡ったその光彩が再度、彼の手荒なリスペクトの中で発酵し、血を流したような描き加えやコラージュ技法を援用するフィジカルなレスポンスを加えて、ようやく味わい深い絵へと昇華されるのです。


聖と邪、危険な香りと可愛らしさとの絶妙なブレンディングのなかに成立しているその絵画世界は、女性ファッション誌などでも人気を得ているほか、広告、ファッションブランドや商業ビルとのコラボ、さらに大阪ではホテル「rock star hotel」の室内装飾を担当したことでも知られ、2015年4月にはアートカフェダイナー「The buggy」もオープンするなど、アートを超えライフスタイルの分野にも拡大中です。


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"Fetish 1"


本展は、buggy氏にとって1年ぶりとなる東京での個展。ペインティングの近作の他に、ブライベートで作りためてきたコラージュ作品も初めて一堂に披露します。モチーフの本質へと行き着く「別の視点」を提示するbuggy氏の絵画作法。コラージュではより明確にその流儀が蒸留されており、様々な観点を照射していく創作姿勢の広がりをタイトルに込めています。リーズナブルな小作品を主体に、大小約50点を展示・販売いたします。また、毎回好評を得ているオリジナルiPhoneケースやTシャツなども紹介・販売いたします。


 



buggy(バギー)アーティスト / イラストレーター


本名・谷口竜也。デザイン事務所勤務を経て、2002年よりbuggy名義で創作活動を開始。大阪 DMO ARTS('12〜'14)での個展を含め、国内外のグループ展にも精力的に参加。「Numero TOKYO」「VOGUE JAPAN」などのファッション雑誌やCDジャケット、マーク バイ マーク ジェイコブスなどアパレルブランドとのコラボレーションを手がけるなど幅広く活躍中。’14年にオープンした大阪市のホテル「rock star hotel」の館内絵画・広報ビジュアルでも注目を集めた。最近の個展に「surface of my brain」(’14年、GALLERY SPEAK FOR)がある。


http://www.buggylabo.com/


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2015.09.23 Wednesday

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神崎智子

Mimeographer


2015年10月16日(金)- 28日(水)11:00-19:00


器や盆栽などの静物をモチーフにして、細やかな味わいの版画作品を制作し続けているのが神崎智子氏です。彼女の絵はほぼ全てが「謄写版」を使った版画。ろう引きの原紙に鉄筆で文字や簡単な線画を印し、インキを滲ませて紙に刷る、いわゆるガリ版を用いた印刷技法は、現在ではほとんど使われなくなった遺産的技術ですが、神崎氏はその特性に美術の領域から着目して駆使し、複雑な表現の可能性を示し続けている稀少なアーティストとして知られています。


食器やハサミなど身近な事物に向けられる醒めた視線と、謄写版というローテクによって淡い残像を得る表現は、アクリル画やCGなどとは比べようもなく素朴です。しかしそのことによって、写生的に題材と対峙する短詩文学に近い美意識が醸し出されています。さらに、盆栽や庭園など和の美、人工的自然の宇宙を感じさせるモチーフと、日本で確立され特に広く普及した歴史を持つ謄写版技法との融合は、新型の和様絵画として捉えることもできるでしょう。


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"appearance"


本展は、彼女が作家活動を始めて10年目となる今年、これまでのアーカイブをほぼ全て一望できるよう企画されたものです。「謄写版(Mimeograph)で絵を作る者」を意味する造語がタイトルに。学生時代のポリマー版画作品から、謄写版に移っての多様な作品まで、神崎氏の創作の深化と変遷を辿れる興味深い内容となります。30号程度の大作やポストカードサイズの小品など、約50点を展示・販売いたします。また、オリジナルトートバッグやエプロン、スケジュール帳などの雑貨類も紹介・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2015年10月16日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=神崎智子 聞き手=伊藤ナツキ(イラストレーター)



神崎智子(かんざきともこ)版画家


1983年、大阪府生まれ。2006年、京都精華大学芸術学部版画専攻を卒業後、本格的に創作活動を開始。謄写版を用いた版画制作をメインに、国内外で作品を発表している。最近の個展に「Blue and White」(2013年、大阪・アートカクテル)。2013年、和歌山県立近代美術館「謄写版の冒険」への出展他、グループ展への参加多数。「技術ピックアップ講座 謄写版」(2015年、町田市立国際版画美術館)にて講師を務めるなどワークショップを各地で開催している。


http://print.pepper.jp/


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2015.09.17 Thursday

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白根ゆたんぽ

MECHANISM OF GIRLS


2015年10月2日(金)- 14日(水)11:00-19:00


ポップな画風の中へ、乾いたユーモアやエロ、アイロニーなど複雑な味わいを包含し、幅広く人気を集めてきた白根ゆたんぽ氏。カートゥーンコミックのように、塗りと描線のバランスを巧みにとりながら肉筆の楽しさをたたえた筆致の絵を、広告や書籍装画、雑誌などで展開し独自のジャンルを確立してきました。イラストレーションを基盤にしてこそ柔軟に提示しうる、サブカルチャーと現代アートの間隙を突くような独特の作風は、積極的に開く個展やグループ展参加などのアクティビティを通して、強く発信されています。


とりわけ最近では、数年前からリトルプレスで発行し続けている独自のZINEのシリーズ「BLUE ZINE」他で発表される女性画が評判に。ポップなカーブ感が光るそれらの線画はエロティックというコードに沿いながらも、エロが抱えがちなホットさから解き放たれたクールさが痛快であり、説明性やグラデーションからフリーになった記号的な描画だからこそ、見る者のイマジネーションへ深く働きかけるガジェットとなり得ています。タブローとしての美しさが不思議と引き立つだけでなく、デジタルディバイスとの高い連動性も魅力的で、イラストの新しい潮流として専門誌などでも話題を集めています。


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本展は白根氏にとって今年4回目の個展です。過去3回の個展において、"GIRLS"シリーズのなかで示した広い可能性。それらの自己解題的な視点も盛込みつつ、得られた多くのフィードバックをアイディアの溶媒にしつつ新作を制作、好評だった過去のアーカイブのリメイクも合わせて試みます。新作約20点をメインに、ドローイング、複製作品などを紹介・販売いたします。また、大人気のZINE、ステッカー、Tシャツなども合わせて販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2015年10月2日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=白根ゆたんぽ 聞き手=とんぼせんせい(イラストレーター)



白根ゆたんぽ イラストレーター


1968年、埼玉県生まれ。桑沢デザイン研究所グラフィック研究科卒業後、フリーのイラストレーターとなる。おもに雑誌やweb、広告などで活躍中。展示活動も活発に展開しており、2015年にはすでに3つの個展「GIRLS BEFORE SUMMER」(京都・トランスポップギャラリー)「BBZ / BIG BLUE ZINE」(タンバリンギャラリー)「GIRLS AFTER BREEZE」(ギャラリー・ルモンド)を開催。「Here is ZINE tokyo」やオンラインショップなどでリリースされるZINEやオリジナル雑貨の人気も高い。


http://yuroom.jp/


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2015.08.22 Saturday

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黒田阿未

透明な少女


2015年9月18日(金)- 30日(水)11:00-19:00


憂いのある繊細なニュアンスの少女像を描き続ける黒田阿未氏は、2014年に美大研究生を修了したばかりの新鋭です。セーラー服をまとっている少女たちの姿は、彼女自身の思春期を主題に込めたモチーフであり、分身でもあります。制服はあいまいな自我と社会とをかろうじて分け隔てる皮膜であり、そのなかに収められることのうっすらとした窮屈感やコンプレックスを、彼女は描画のなかに静かに生々しく滲ませながら、見るものたちへも同じ問いを投げかけているかのようです。


制作は、ドライポイントプレートや厚紙で自作する版に、ニードルで点描・線画し表面をはがしたりニスなどを塗って凹凸を作ったのちプレス機で刷りあげる紙版画が主体。グラフィカルな画面構成も巧みで、時に絵具による着彩、木版画手法も援用して作られる作品は1点ずつディテールが異なり、紙版画の領域を超える耽美的な深い美しさがあります。美大在学中より各種のコンクールで注目を集め、グループ展では絵を雑貨などへ柔軟に展開する高いセンスでも好評を得てきました。


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"瞼"


本展は、彼女にとって約1年ぶりとなる本格的な個展です。「漠然とした不安感」を抱えながら、「光をも通すことができるような」何者にもなりうる少女の揺らぐイメージをタイトルに込めています。学生時代の創作を超えて新たな表現を成熟させつつある近作を中心に、40号や掛け軸作品、小作品まで約40点を展示・販売いたします。また、本展のために制作される作品集、マトリョーシカや絵皿、トートバッグ、Tシャツなどの雑貨類も紹介・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2015年9月18日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=黒田阿未 聞き手=石川真衣(版画家)



黒田阿未(くろだあみ)アーティスト


1991年、富山県生まれ。東北生活文化大学生活美術学科在学中より、おもに板紙凹凸版による版画を中心に創作活動を始める。第10回「デザイングランプリ TOHOKU 2009」にて学生部門最優秀賞を、また「宮城県芸術祭 第1回絵画公募展」(2012年)にて宮城県芸術協会賞(グランプリ)を受賞し注目を集めた。2014年、同学科研究生を修了し富山県を拠点に活動中。最近の個展に「ホームルーム」(2013年、仙台・Art room Enoma)「揺れるスカートの記憶」(2014年、銀座・十一月画廊)がある。


http://a-kuroda.petit.cc


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2015.08.11 Tuesday

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刑部信人

HOLIDAY


2015年9月4日(金)- 16日(水)11:00-19:00


ありふれた日常のシーンと過ぎゆく時間、その行間に隠された不可視の情感を美しく切り取る写真術が、刑部信人氏の最大の持ち味です。水平方向に伸びるオーソドックスな視線だけではなく、時に上下へのアングルも自在に使いながら設定される視点の妙によって、画面の俳味を最大化。見る者たちに、この地球に生きていることの不思議までをスケール大きく問いかける、知的で清々しいアプローチは独特で、その感性を数多くの記憶に残る広告写真でも活かしつつ高い評価を集めています。


2015年4月には初めての写真集「花火」をリリースしました。デジタルカメラの特性を吟味し向き合い、各地の花火を追いながら、その美しさを光学的にアート化。幾何学的絵画を思わせる描写は比類のないで、ふだんのスナップ的な写真と対照的なその構想が、硬軟に幅広い才能を印象づけたばかり。今、最も期待される若手のひとりといえるでしょう。


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"かげ"


本展は、刑部氏の2冊目の写真集「HOLIDAY」の刊行に合わせて企画されたものです。10年前からフィルムで撮り続けている「休日」の情景シリーズ。花火とは違い、「日本人の余暇を客観的に観察し、おおらかな感覚で捉えたかった」と刑部氏は言います。遊園地や公園、動物園など、ありふれたデスティネーションでありながら、ステレオタイプの観光写真ではない、無垢な眼力だからこそ捉えられる日本的なランドスケープの滋味と幸福の形を堪能できる、美しい作品ばかりです。今回は、約40点のプリント作品を展示・販売いたします。また、写真集「HOLIDAY」の他、オリジナルトートバッグなどの関連商品も紹介・販売いたします。


写真集「HOLIDAY」2015年9月発売
著者 : 刑部信人 税抜定価 : 3,000円 発行 : FOIL


【ギャラリートーク開催】
2015年9月4日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=刑部信人 聞き手=長谷川朗(ヴィレッジヴァンガード下北沢店書籍担当、イラストレーター)



刑部信人(おさかべのぶと)フォトグラファー


1984年、静岡県生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科に在学中より、上野彦馬賞(九州産業大学)にて日本写真芸術学会奨励賞を、フォックス・タルボット賞(東京工芸大学)にて一席を受賞するなど注目を集めた。同大卒業後、広告制作会社勤務を経てフリーランスのフォトグラファーとして独立。日清シスコ、資生堂、三越伊勢丹、adidasなど数多くの広告写真を手がけている。2015年、初めての写真集「花火」を発表し、同名写真展をFOIL GALLERY(京都)とOVER THE BORDER(東京)にて開催。


http://nobuto-osakabe.com


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2015.07.23 Thursday

過去の展示


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山口真人

MADE IN TOKYO


2015年8月21日(金)- 9月2日(水)11:00-19:00


企業CIやVI、ミュージシャンのPVやwebグラフィックなどを手がけている山口真人氏は、コンセプチュアルな楽しさに満ちたビジュアルづくりと、クリーンでインタラクティブな視覚表現で高い評価を受けています。同時代者たちの感性と価値観を心良く震わせるミックスメディアな構想力が光る一方で、彼は商業美術の領域から現代アートの強いコミュニケーション力に着目し、独自のアートシリーズ「Plastic Painting」の制作を続けています。


そのシリーズとは、「見せかけ(=Plastic)の絵画」がコンセプト。2014年の初めての個展では、透明なプラスチック板にグラフィックをプリントし、または工業的な成型手法で制作された立体作品によって、現代アートのフェイマスたちの作品世界をグラフィカルに輝く人工的な結晶美に置き換えてみせ、好評を博しました。リミックスとマッシュアップ技法によって、アートとデザイン、2つの領域をカクテルして見せる、その編集感覚が彼の最大の持ち味といえるでしょう。


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作品集「MADE IN TOKYO」


本展は、山口氏にとって1年ぶりの個展です。自身のアイデンティティと切り離せない「東京」を「世界中の文化を模倣し、リミックスし作り直す器」と定義。彼のアートワークの編集性そのもののなかで東京を体現するシリーズに取り組んだ成果を披露します。グーグルの検索結果をスクリーンショットで採取、グラフィックツールでCMYKドットに変換し、そのデータからステンシルを作ってキャンバスにエアブラシで描画した作品など、アクリル絵具を使用した平面作品を中心に、約30点を展示・販売いたします。また、初めて制作される作品集のほか、Tシャツやアクセサリー類も紹介・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2015年8月21日(金)18:30〜19:00 入場無料
作品解説=山口真人 聞き手=丸山るい(コピーライター)



山口真人(やまぐちまさと)アーティスト / アートディレクター


1980年、東京生まれ。法政大学を卒業後、2008年「アイデアスケッチ」を設立。企業のVI、CI、アートディレクション、グラフィックデザイン、WEB、映像制作を手がける。Apogee、椎名林檎、Rocketmanなど音楽関係のアートワークやPV制作も多い。2011年より自身のアートワークとして「Plastic Painting」シリーズの制作を開始。Affordable Art Fair NYC(2012年)、Scope Miami Beach(2013年)など海外のアートフェアに参加。2014年にGALLERY SPEAK FORにて個展「Plastic Painting」を開催。


http://plastic.ideasketch.jp


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2015.07.08 Wednesday

過去の展示


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今城 純

Pastel wind


2015年7月31日(金)- 8月19日(水)11:00-19:00


同じ世界に住み、見慣れた光景のなかにいても、視点を変えるだけでファンタジーの一場面にワープするような感動を受けることがあります。エディトリアル、広告制作の場で幅広く活躍する今城純氏は、被写体・モチーフの本質をつかみ、無形のニュアンスまでをありありと捉える透明感の高い写真話法で人気を集めてきました。外形的なものを、彼特有のプロットのなかに迎え入れて美しくキャストする、そうした視点共有の技で、見るものは魔法にかかったようにその内面の価値までを深察しうるのです。


仕事で多忙な身でありながら、ミュージシャンがコンスタントに新譜をリリースするように、定期的に自作写真集をプロデュース。自身の足場を失わない発信力も彼の特長です。世界の様々な街で、季節の情景を捉えたその作品群は、どれも光の表情とレンズが楽しげに交感し合い、映画のワンシーンのように、見る者にピースフルな時間を与えてくれます。ファインダーの先にあるものが風景であっても、人物であっても、変わらぬ視点の妙を実践し続けている点が、クリエイティブ業界からもファンからも等しく高評価を受けています。


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写真集「Pastel wind」。ケースは6種


本展は、ポルトガルを旅したシリーズを初めて公開するものです。「まるで色鉛筆で描かれたようなカラフルな街並み。そこを歩いていると優しい風に包まれているような感じがした」と今城氏。パステルカラーの効いたランドスケープフォトは、彼本来の柔らかな描写タッチと絶妙なハーモニーを奏でており、同名写真集とともに、グラフィックと組み合わされたリズミカルな構成も楽しめる内容になります。本展では、大小約40点のプリント作品を展示・販売いたします。またオリジナル色鉛筆、缶バッジなども紹介・販売いたします。


写真集「Pastel wind」2015年8月20日発売(写真展で先行発売)
著者 : 今城 純 税抜定価 : 3,500円


【ギャラリートーク開催】
2015年8月8日(土)15:30〜16:00 入場無料
作品解説=今城 純 聞き手=市川紗椰(モデル)



今城 純(いまじょうじゅん)フォトグラファー


1977年、埼玉生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。横浪修氏に師事後、2006年よりフリーランス・フォトグラファーとして活動を始めた。広告、CDジャケット、雑誌など様々な分野で活動中。写真集に「TOWN IN CALM」('04年)「ATMOSPHERE」('07年)「over the silence」('10年)「earl grey」「milk tea」('12年)「in the blanket」('14年)がある。'14年、GALLERY SPEAK FOR他にて「in the blanket」展を開催した。百貨店とのコラボレーションも手がけるなど活動の幅を拡大中。


http://www.jun-imajo.com/


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