2012.11.24 Saturday
菅野麻衣子 ゆれたスカートの記憶
2012年12月21日(金)- 2013年1月16日(水)11:00-19:00
※12月27日〜1月6日と1月10日は休廊
ぷっくり頬の膨らんだ少女たちの意味ありげな澄まし顔。菅野麻衣子氏の絵に描かれるそれら登場人物は、どれひとつとして顔立ちが同じではないのに、ひと目見れば特有のトーンに誘い込まれてしまいそうです。しぐさや人体バランス、アングルなどの奇想天外なバランスに、まるで劇の中でフリーズし標本化されたような謎めいた味わいがあります。少女の視線はどれも漠然と宙を浮遊しているようで、こちら側の視野の外にある何かを鋭く射抜く力をも宿しており、可愛らしさの中にも日常の裏に張りつく孤独感や畏れ、神秘を感じずにはいられません。垂らし込み技法を取り入れたアクリル絵具による多層的な表現が、絵の吸引力に複雑な深さを与えているのです。
少女自体への執着で描くのではなく、それをある種の言語としつつ、いわばインスピレーション転送装置としての人物画を形づくりつつある菅野氏。地元・仙台で小さな個展を重ね、口コミで着実にファンを増やしながら、同時に海外のアートフェアやグループ展でも好評を得るようになりました。
本展は、東京での初めての個展です。彼女の絵に頻出するモチーフであり、日々の感情の揺らぎやブレ、曖昧さなどにも置き換えられる「スカート」をタイトルに引きました。過去3年間の絵の集約を試みつつも、ほぼ2012年に描かれた近作、新作ばかりで構成。サムホールサイズからF30号まで、大小約50点の絵を一堂に紹介・販売いたします。また、この機会のために描き下ろした1点ものマトリョーシカや、ハンペルマンなど、2D表現以外でも評価の高い立体作品や、初めて自主制作する作品集なども販売いたします。
【ギャラリートーク開催】
2012年12月21日(金)18:30〜
作品解説=菅野麻衣子 聞き手=佐原和人(アーティスト)
菅野麻衣子 アーティスト/イラストレーター
1983年宮城県生まれ。宮城県宮城野高校美術科を卒業後、仙台を拠点に創作を開始。2003年、せんだいアートアニュアル2003にて「明和電機賞」を受賞し注目を集める。2006年、東北生活文化大学生活美術学科を修了。以後、精力的に展示活動を行いながら、GEISAI#11(2008年)、アジア女性美術交流展(韓国・2007年)や、International Art Fair(ロンドン・2010年と2011年)にも出品。2012年に参加したグループ展に「game over show」(ロサンゼルス・Giant Robot)、「東北作家5人展」(愛知・ギャラリーエム)などがある。雑誌や広告も手がけるなど幅広く活動中。
「ARTISTS」に、菅野麻衣子さんのインタビューを掲載。
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=f33