EXHIBITION ARCHIVES

2008.12.02 Tuesday

過去の展示

anemone


熊谷直子 anemone


2008年12月19日(金)- 2009年1月7日(水)11:00-20:00


雑誌各誌でファッションストーリーを撮影し、広告などでも広く活躍中の熊谷直子氏は、写真に対する独特のメンタリティを抱えつつキャリアを進めてきました。カメラを社会への通用口と位置づける写真家は多く存在しますが、幼少時代から自分用カメラを与えられ、いつも何かにレンズを向け、それを通すことで物事と対話してきたという彼女にとって、カメラはまさに血肉化した身体、感情の吹き込み口のようなネイティブ・ツールでした。


20歳で単身フランスに渡り芸術文化を学んでいた生活の中でも、たえず膨大な写真がその手から生み出されました。シャッターに触れる指は、愛を求めて動き、見るものへとその愛を送り出す「ふいご」のようにして動いてきたといいます。思考より速く深く、心のパトスをカメラに伝えつつ生きてゆく。そんな撮影生活はプロフェッショナルとして多忙な昨今まで損なわれることなく継続しており、繊細なニュアンスが美しい彼女の写真の底に流れる基調として、多くのクライアントから支持されています。


本展は、そんな自らの写真論を、甘く切ないラブストーリーになぞらえて構成するものです。「はかない希望」「恋の苦しみ」という花言葉を持つアネモネをタイトルとし、これまであまり公開されることのなかった静物写真、風景写真群によって構成します。また彼女の写真に共鳴した人気モデル、今宿麻美さんを撮った新作も交えながら、熊谷氏の現在の世界を紹介します。


写真集「anemone」発売
定価:2,100円 版元:TYPHOON BOOKS JAPAN
【トークイベント開催】
日時 : 2008年12月27日(土)17:00〜18:30
出演 : 今宿麻美(女優/モデル)×熊谷直子



熊谷直子(くまがいなおこ)フォトグラファー


1976年、兵庫県生まれ。1996年渡仏し2000年まで滞在。2003年にフリーランスとなる。「Sweet」「装苑」「GISELE」「JILLE」「Switch」などの雑誌やアパレル各社の広告イメージを数多く手がけて活躍中。


http://kumagainaoko.com/


EXHIBITION ARCHIVES

2008.11.26 Wednesday

過去の展示

suzuki


鈴木心 写真1


2008年12月5日(金)- 12月17日(水)11:00-20:00


不断の時間の流れの中で生きていく人間たちは、常識による洗脳に気づく暇を奪われた状態にあることがしばしばです。その流れに杭をさし、シーケンスを標本として取り出すことができれば、自らのものの見方が他者にとっての見方と同じではあり得ず、普遍性ともかけ離れたものであることに気づくでしょう。


刻々と風貌を変えていく広大な建築現場、震災による地割れと倒壊した住宅、不敵な輝きに包まれた改造車、レースクイーンの撮影会に群がる無名カメラマンたち――。写真家、鈴木心が撮るそれらの写真は、一見、よくある現場を記録するだけの態度に見えながら、流れに丁寧に杭をさし込み、当たり前のことに対して強烈な疑問を突き付ける角度を持っており、暗黙のうちに制度化されて常識に飼い慣らされた私たちの認識力を解き放つ作用を備えています。いわば創意や情緒を離れ、心地よい「客観」によって照射されたサンクチュアリであり、そのことが、学生時代に建築現場を撮影するようになってから今日まで、作品シリーズを問わず一貫して彼の写真術の魅力になっているのです。


広告や雑誌で撮影される緻密な構成写真で、すでに多くの業界関係者から高い評価を受ける鈴木が、もう一方のウィングとして取り組み続けている作品世界を、初めての写真集としてまとめたのが鈴木心『写真』です。人と風景には被写体として何ら隔たりがなく、自分と写真にも隔たりがない、と言う彼のコンセプトを置き換えたタイトルの通り、間断なくページを埋め尽くした写真群は、これまでの撮影生活を総括する内容であり、昨今の写真を取り巻く環境へ投げられた静かな石つぶてとなるでしょう。


展覧会の開催に当たっては、写真集の構成内に収めきれない作品も含めて構想する中で、1つの個展会場を溢れ出る形で他へと波及し、同時期に3か所での開催を選ぶこととなりました。トークイベントや関連企画の実施も含めて、鈴木心の世界を立体的に伝えていきます。


2008年12月6日(土)18:00-19:30 トークイベント 菊地敦己×鈴木心
2008年12月14日(日)15:00-16:30 トークイベント 畠山直哉×鈴木心
写真集 鈴木心『写真』 価格:税込6,090円 版元:株式会社ブルーマーク



鈴木心 (すずきしん)フォトグラファー


1980年生まれ。04年度東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。同年エプソンカラーイメージコンテスト藤原新也賞、05年キヤノン写真新世紀佳作、第24回ひとつぼ展写真グランプリ受賞。アマナグループに勤務後2008年に独立。広告や雑誌の写真制作とCF撮影を手がける一方、自身の作品制作を行っている。


suzukishin.jp


EXHIBITION ARCHIVES

2008.11.07 Friday

過去の展示

moshino


若野 桂 Black Market


2008年11月21日(金)- 12月3日(水)11:00-20:00


80年代、イラストレーションの手法にCGの技術をミックスした作風で、若野桂氏はセンセーショナルに脚光を集め始めます。アメリカン・ポップやグラフィティを踏み台に、ジャパニメーション世代の予兆も感じさせるそのスペースエイジ的な描画世界は彼独特のもので、NIKEが1988年からアメリカ15都市〜イタリア〜日本〜アジアで展開したバスケットボール・キャンペーンにおいて、全てのCMキャラクターデザイナーとして抜擢されたように、むしろ海外から国内へ評価がフィードバックされた点も異色でした。また80〜90年代の活発なクラブシーンとその周辺のグラフィックムーヴメントに大きな影響を与え、DJ KRUSH、MONDO GROSSO、MONDAY満ちる、竹村延和、BIRDなど、今もなお若野氏のパッケージ・アートワークや映像と一体的に記憶されている名曲も数多く存在します。


本展は若野氏にとって、東京での7年半ぶりとなる本格的な展示です。20余年もの間に創り上げてきた若野氏の夥しいイラストレーション、CGワーク、グラフィックなどの数々から、コレクターの視点で選りすぐって展示するタイムトンネル的な枠組みだけでなく、変わらぬバイタリティを感じさせる新作コレクションも織り交ぜて多層的に紹介します。


音楽シーンからはもう、グラフィックの名作がほとんど生まれなくなったと言われますが、今もクリエイター筋をはじめとする根強いファンから深いリスペクトを集める若野氏の作品群と、それらを貫く孤高のグラフィック魂を改めて俯瞰することは、その喪失感を前向きに埋めて余りある新鮮な体験となるはずです。



若野 桂(もしのかつら)アーティスト/映像作家


1980年代より、デザイナー、アーティスト、映像作家として国際的に高い評価を受ける。国内外の音楽アーティストたちのパッケージデザインやPV制作の他、NIKEのバスケットボール・グローバルキャンペーン、SONYのアイボ第3世代(2001年発売)、エビアンが世界で発売したレッドボトル(2003年)など、エポックメイクなデザインワークを数多く残している。現在、名古屋市在住。


http://www.philspace.com/artist/katsura_moshino/


EXHIBITION ARCHIVES

2008.10.26 Sunday

過去の展示

achim


アチム・リポットと「kid's wear」


2008年11月7日(金)- 11月19日(水)11:00-20:00


子ども服とは大人服のダウンサイジングではありません。人間のピュアネスを問い、クリエイティブの深淵に通じることができる素晴らしいメディア、それが子ども服の世界なのです。ドイツ・ケルン発のファッション誌『kid's wear』は、1995年の創刊以来こうしたビジョンを守り通しています。今や世界中のクリエイティブ系オフィスや広告代理店で参考にされ、あの伝説的なフォトグラファー、ブルース・ウェーバーも愛読者の一人であるなど、「子どもファッション誌の芸術」とまで言われるようになりました。


この雑誌の発行人こそ、フォトグラファーのアチム・リポット。キャリアのスタートの頃から、子どもたちを美しく撮ることでは抜群の才人として知られており、毎回『kid's wear』誌面で発表される撮り下ろしフォトストーリーは、子どもたちへの愛情や、手間をかけた細かいシチュエーション作りによって比類のないクオリティを誇っています。それが多くのクリエイターたちを刺激する形で、ウェーバーをはじめ、ナン・ゴールディン、マーティン・パー、ホンマタカシ、エレン・コンスタンチンら、そうそうたるアーティストを同誌に引き込み、子ども服デザイナーたちの共感を集め続けているのです。


本展では、近年ますます洗練された子ども写真を撮り続け、ファインアートの域にも到達しようかというリポットの表現世界を、本人のセレクトした約25点のプリントで紹介します。またこの機会に、『kid's wear』の稀少なバックナンバーや関連図書も販売いたします。



ACHIM LIPPOTH(アチム・リポット)フォトグラファー


ドイツ生まれ。大学卒業後フリーランスのフォトグラファーに。優れたキッズポートレートとファッションフォトで独自のジャンルを築く。自ら主宰する『kid's wear』誌をベースに、多くのファッション誌、インテリア誌で活躍。トミー ヒルフィガーやリトル マーク ジェイコブスなど手がける広告も数多い。


http://www.lippoth.com/


EXHIBITION ARCHIVES

2008.10.21 Tuesday

過去の展示

reco_card


内田文武 榎本貴政 佐原和人 Reconcilable Generation


2008年10月24日(金)- 11月5日(水)11:00-20:00


「Reconcilable Generation」は、内田文武、榎本貴政、佐原和人の三氏によるグループ展です。彼らは、現代アート通販の@Gallery TAGBOAT内で行われている有望アーティストのショーケース・プロジェクト「DNAT」(Discover New Artists @TAGBOAT)でピックアップされたアーティストの中の3人です。さる9月に開催された上海アートフェアにも出品した彼らは、そこで互いに共通するインスピレーションを感じ、今回のグループ展を自ら企画いたしました。


京都をベースとしてロンドンや香港などでも積極的な展示活動を続けつつ、広告デザインなど多方面で活躍する内田文武氏。岐阜をベースにtokyo wonder siteなど各地の映像インスタレーションで話題を集めている榎本貴政氏。そして東京をベースに、ロンドンやパリでも展示やパフォーマンスなどを展開している佐原和人氏。それぞれのアクティビティは三者三様で、リンクすることなく活動を続けてきましたが、DNATを契機に交流が始まり、そして同世代のシンクロニシティに気づくようになります。


3人をゆるやかに貫く「線」は、表面的な描画スタイルとしての「シルエット」にあります。個々に別々のモチベーションから辿り着き、モチーフや採り入れ方も全く異なるものでしたが、そのスタイルの共通性を入口にして、3人がお互いのコンセプトへと入り込むうちに、ある理解へと辿り着いたといいます。それをGALLERY SPEAK FORの空間で表現しようと本展が企図されました。Reconcilableとは「調和しうる」という意味。都市の日常を含む自然と自己の存在について、鋭い感受性をもって受けとめている彼らは、今の時代をおおまかに「調和の時代」と位置づけることから始めました。「自然とどのように向き合うか、前の世代を踏まえながら、折り合いをつけることで生まれる文化、価値観を見い出したい」と語ります。観衆にとっては、「調和しうる」3人の世界のクロッシングも見どころと言えるでしょう。カンバス画から映像インスタレーションまで、それぞれのメディアでコンセプトが提示されながら、同世代の視野が異なる言葉で豊かに共鳴し合う空間となるはずです。



内田文武 アーティスト


1981年京都生まれ。 京都造形芸術大学美術工芸学科染織コース卒業。2006年、graf media gm(大阪)の「tenants」展などに参加。2007年は個展、風景 (PRINZ、京都)、「amadoi studio」(スパイラルマーケット、横浜)を開くほか、シンガポール・香港でのグループ展「SUR☆FACE」などに出展。


榎本貴政 アーティスト


1979年生まれ。 岐阜市在住。映像によるパフォーマンス、インスタレーション、プリント作品などを制作。2002年、Gallery MN(Mu:)(名古屋)での展示でデビュー。2007年は、Z-Platz(福岡)、tokyo wondersiteの「Tokyo wonder seed 2007」に参加。


佐原和人 アーティスト


東京をベースに、キャンバス画からインスタレーションまで多彩な創作活動を展開。2008年、個展「Behind Yourself」 (H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI、東京)。グループ展「Jardin Secret」(Yukiko Kawase、パリ)や、「Art Meets Mac ~ Bicameral World」(アップルストア銀座)などに参加。


EXHIBITION ARCHIVES

2008.10.01 Wednesday

過去の展示

1/43/4?


村上 周 Original Mix


2008年10月10日(金)- 10月22日(水)11:00-20:00


村上周氏は、シティスケープやランドスケープをクールな視線からグラフィックオブジェクトとして置き換え、独特なパースやスケール感を援用して表現するコラージュ作品で知られる作家です。これまで、マラケシュやムンバイ、バンコク、ベルリン、ミュンヘン、ニューヨークなど、旅をした街の風景やポートレート写真をベースに、その街で採取した色彩感に反応しつつ、シルクスクリーンやペインティングで コラージュ。見る者に不思議なトリップ感を与える作品を次々と発表し、各界にファンを増やしてきました。


彼は自らの創作の源泉を「Mix」にあると捉えています。眼で見たたくさんの情報や知識を、自分というフィルターを通して新しい形に表現する、クリエイションそのものが持つ新陳代謝の奥深さに彼は魅せられてきました。Mixの中からオリジナルが生まれ、また新しいオリジナルへと進化して行く。その次々と終わることなく続く"Mix進化論"の媒介として自分自身を委ね、創作の旅の意味と位置づけているのです。


東京に活動拠点を移してから6年、前回の個展から2年が経過した今、本展ではその間に得た進化の姿を、代官山という街やGALLERY SPEAK FORの空気感を活かしながら表現することになります。展示されるのは全て新作のキャンバス作品約10点と立体作品約3点。その他、村上周デザイン室として手がけているブランドプロジェクトやアートプロジェクトの商品、グッズ類を一堂に展示・販売します。


【ライブペインティング開催】
日時:2008年10月10日(金)19:00〜
出演 : 村上 周×Alcuin Ai(ミュージシャン/映像アーティスト)
【トークイベント開催】
日時 : 2008年10月17日(金)19:00〜20:00
出演 : 上田健司(音楽家)×村上 周



村上 周(むらかみあまね) アートディレクター/アーティスト


1975年生まれ。神戸芸術工科大学プロダクトデザイン学科在学時にシルクスクリーンと出会い、イラストレーション、グラフィックデザインを学ぶ。同大卒業後、創作活動を始め、またアートディレクターとしてCDジャケットやアパレル広告、雑誌や書籍の装丁など、多岐に渡って活躍中。2004年、絵画のある空間を提供するプロジェクト「amabro」(村上周デザイン室主宰)をスタートさせ、ルーブル美術館コンテンポラリーショップなど国内外のインテリアショップを中心に展開。


http://amanemurakami.com/
http://amabro.com/


EXHIBITION ARCHIVES

2008.09.19 Friday

過去の展示

3/43/4??????3


松尾たいこ Parallel World 〜私の視線〜


2008年9月26日(金)- 10月8日(水)11:00-20:00


角田光代、江國香織、井上荒野、スティーブン・キングら人気作家の著作をはじめ、年に約50冊ものペースで書籍・雑誌の装画を手がけるなど、松尾氏は98年のデビューからこの10年間、常に日本のイラストレーション界のヒットメーカーとして注目を集めてきました。伸びやか、かつ繊細な筆致が、ある時はヴィヴィッドな色彩によるフュージョンを奏で、ある時はシックな色合いで謎めいたファンタジーを囁きます。一度見たら彼女だとはっきり分かる作風ながら、その絵でしか語れない複雑なイメージ/カルチャーがあり、そこに多くのクライアントが魅せられてきたのです。


90年代後半の写真界に「RGB」的な色彩表現をもって若い女性たちが台頭してきた頃、イラスト界においても(デジタルツールではなく、アナログな絵筆を手に)松尾たいこが登場したことは、イラスト史の象徴的な一幕として捉え直すこともできるでしょう。


今回の展示では、これまでに描きためた過去作を現在の視線で再構成するインスタレーションです。可愛いモチーフなのに死を感じる。ブラックな悪夢のように見えてハピネスを確信できる。彼女の手元から生み出される色彩の渦には、いつもそんなアンビバレントな魅力が潜んでいますが、本展ではその表現世界を、これまでのようにテーマ毎に整列させず、全てを関連づけさせたまま意図的に混交させ、その果ての化学反応をギャラリー一面に提示します。その結果、彼女が様々な媒体で発表してきた記念すべき過去作を見渡し、次の10年の可能性を肌で予見できる、またとない機会となることでしょう。



松尾たいこ アーティスト/イラストレーター


広島県生まれ。OL生活の後に上京し、1995年セツ・モードセミナーに入学。1998年、ギャラリーROCKETにて初の個展を開催。第16回ザ・チョイス年度賞鈴木成一賞受賞。現在、書籍や雑誌、広告、CDジャケット、六本木ヒルズのグッズなどのために絵を制作し、エッセイや映画に関するコラムを執筆するなど、活動は多岐にわたる。2007年12月、初のオリジナル絵本「空が高かったころ」を発表。


http://www.taikomatsuo.com/


全[1]ページ中[1]ページ目を表示しています