ARTIST OF THE MONTH

2017.09.04 Monday


ARTIST OF THE MONTH

9月のアーティスト│福津宣人




2017年9月のアーティストは、画家 / アーティストの福津宣人氏です。


多くの画家は絵を描くにあたり、モチーフを見つめ、フォルムや色彩情報を受けとめて自分なりの構想と描画タッチで造形していきますが、福津氏の場合には、そのノウハウやマナーが一定ではありません。多くの場合、パターン・ペインティングという絵画様式をとり、「パターンストローク」シリーズでは、筆やペインティングナイフを使いながら、雪の結晶の生成のように六角形の対角線を結ぶ手の動きだけで描いています。また別のシリーズではアルキド樹脂を用い、絵具の硬化過程によって偶発的に生まれる様々な模様によって風景などを表現しています。絵具が乾くまでにかかる時間や、混ざり合わないことによる流動性を効果的に援用しているのです。


そうした方法論は一見遠回りな描画法に見えますが、描写対象の「具体」と、パターンという「抽象」の間にある無限の広がりへと見るものを手招きし、インプロビゼーションに似た感性の震えと、絵の対象との邂逅の感動を一層強くもたらしています。彼の絵画思想やプロセスは既存概念を超えている分、異分野とのフュージョンの余地も大きく、建築家や照明デザイナーたちとのコラボレーションも数多く手がけています。


2017年9月には、約3年ぶりとなる個展「溶けてゆく模様」を開催(恵比寿・ALにて、9月16日〜26日まで)。GALLERY SPEAK FORでは、福津氏のユニークな創作世界の今後に秘められた可能性と、描く過程で偶発的に生み出された模様や素材などへの興味を捨て去らず、常に変容への呼吸を止めない姿勢を高く評価して、「ARTIST OF THE MONTH」として選定。近作から自薦の作品を中心に、当サイトにて紹介・販売いたします。



福津宣人(ふくつのぶと)
画家/アーティスト


パターン・ペインティングにこだわった独自の技法。
濃厚でフュージョン感覚に満ちた絵の美しさは見事。


1969年、宮城県生まれ。東京都在住。映像クリエーターとして活動した後、画家の領域へと移行し、グラフィックパターンを使った独自の絵画様式を追究。建築家とのコラボレーションを含む着想豊かなアプローチは海外各都市での展覧会でも注目を集める。近年の個展に「光あるところ」(2013年、HAGI ART)、「光の模様」(2014年、GALLERY SPEAK FOR)がある。「佐久島 遍路展」(2012年、三河・佐久島アートプラン21)など、グループ展にも多数参加。2016年、春日大社国宝殿にて照明デザイナー岡安泉氏による常設インスタレーションの映像を監修。


「溶けてゆく模様」展については、こちら
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=750


福津宣人さんの作品一覧は、こちら
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=grp&gid=1677475&sort=n