EXHIBITION ARCHIVES

2012.07.09 Monday

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星きさら 散歩の音


2012年8月3日(金)- 15日(水)11:00-19:00


アクリルや水彩絵具は星氏の絵筆によって、色とりどりの花弁や植物たちのフィギュアへと形を変えてキャンバスの上に次々と点灯していきます。あえて輪郭をクリアにせず、しかも何層もの色のレイヤーが溶け合う機微は、彼女の心眼に写った日常の景色を私たちの印象の領域にまで十分に吹き込む話法をたたえています。


画面たっぷりに咲き誇るボタニカルな華やかさだけではありません。それらの合間に時おり、人物や動物のフィギュアがまるで騙し絵のように調和していることに気づくでしょう。草花だけに感応しているのではなく、それと世界を共有する、空を滑る鳥、川をたゆたう魚の群れ、風の流れや匂いなど、彼女の五感が触れた日常空間の全てが渾然となって封印されているのです。少女性をミュートせず、万華鏡のようにユニークな味わいに満ちたそれらの絵は、各種の公募展、グループ展などでも高い評価を受けています。


本展は、星氏にとってベストアーカイブ的な個展。「視覚的なものだけでなく、絵から軽やかな音が聴こえてくるような展覧会を」との意図から、彼女の流儀をプレゼンテーションするようなタイトルになりました。彼女の印象や感情、空想などが華やかな筆致に乗り移り、見ている私たちの五感をもくすぐる、心地よいイメージの交換を感じていただけるでしょう。


本格的に創作を始めて約6年の間に描かれたアーカイブの中から、自薦のキャンバス作品を中心に数点の新作も含め、大小約25点の作品を紹介・販売いたします。また、一点ずつ絵を描き下ろしたTシャツやトートバッグなど、本展のために制作される希少なデイリーアイテムも販売されます。


【ギャラリートーク開催】
2012年8月3日(金)18:30〜 入場無料
作品解説=星きさら 聞き手=寺門孝之(画家)



星きさら アーティスト


1983年、神奈川県生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業後、横須賀の古民家「アトリエがけ」を拠点に制作活動を開始。おもな個展に「いつか忘れる日曜日」(2011年、六本木 gallery TRINITY)、「鳥の散歩」('11年、渋谷 UPLINK GALLERY)がある。その他、グループ展への参加、カフェでの展示など精力的に活動中。「ワンダーシード」にて入選('08年、'11年)。「第12回リキテックスビエンナーレ」にて入選('09年)。'12年より、朝日カルチャーセンター横浜教室にて講師。


http://kisolati.blog94.fc2.com


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2012.06.25 Monday

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田中麻里子 SOMEONE, SOMEWHERE


2012年7月20日(金)- 8月1日(水)11:00-19:00


スティックのようにスレンダーな手足の女の子。女性誌のエディトリアルページでよく見かけるその印象的なイラストレーションを手がけているのが、田中麻里子氏です。白を背景にハンドドローイングの筆致を活かした落書き調の線画ですが、その華奢なニュアンスを微妙に描き分けることで、ファッションやコスメ、ヘアメイク、グッズトレンドのキーコンセプトを鮮烈に伝え、女の子の可愛らしさや願望、タフネスなど複雑なガールズマインドを優しく表徴して共感を集めています。


グラフィックデザインの素養に根ざした色味と構図も特有で、フレンチカートゥーンの作法をさらにアップデイトしたような、柔らかくニュートラルな画風は、ストリートからコンサバティブまで多様なライフスタイル表現に親和性を発揮。TOKYO GIRLS COLLECTIONのブランドブックでも重用されるなど、幅広い活躍を続けてきました。


本展は田中氏にとって3年ぶりとなる個展。今回は、得意の「女の子画」を一部封印し、風景や思わせぶりなワンシーンがモチーフの中心になります。「誰が、どこで、何をしていたんだろう? と観た人の想像を喚起させられるような絵を描きたかった」という彼女の意図がタイトルになりました。絵のフレーム外にある空気感やストーリーへと導く新しいアプローチは、また一方で、彼女の頼りなげな線画からにじみ出る意味の広がりに改めて気づかせてくれる絶好のシリーズになりそうです。鉛筆やマーカーで描き下ろされた新作ドローイング約30点を展示・販売する他、ホルベイン画材と彼女がコラボレーションして最近発売されたクロッキー帳や、本展のために制作する作品集、Tシャツなども販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2012年7月20日(金)18:30〜 入場無料
作品解説=田中麻里子 聞き手=師岡とおる(イラストレーター)



田中麻里子 イラストレーター


デザイン事務所勤務を経てフリーランスのイラストレーターに。おもに雑誌や書籍の装画、web、広告のためのイラストを手がけるほか、パッケージやアパレルブランドのウィンドウディスプレイ、ノベルティグッズなど様々な企業とのコラボレーションワークも多数。


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2012.06.21 Thursday

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Marke Newton Sneakers & Portraits


2012年7月6日(金)- 18日(水)11:00-19:00


オーソドックスな油彩画から、鮮やかな色彩のコラージュ、繊細なモノクロームのペン画まで、様々なツールを駆使して描くマーク・ニュートン氏。対象モチーフとクールに向き合うことで、逆にそれらのエッセンスをフェティシズム感たっぷりに封じ込めてみせる人物ポートレートでは特に高い評価を得ており、ジャン=シャルル・ド・カステルバジャック氏やベルンハルト・ウィルヘルム氏などファッション界の要人、ミュージシャンたちの肖像画も手がけています。ポートレート以外にも展開する多彩なアイディア、ハンドメイドの美しさ、細やかさと大胆さを兼ね備えたスケール自在なアクティビティが特長です。


本展は、彼にとって2年ぶりとなる東京での個展。メインとなる新作は「靴」のシリーズです。人物の細部へと這わせるのと同じ注意深さでとらえつつ、あえて地面から粘り糸を引くように立ち上がるかのような表情を、アルミ箔とアクリルで描きました。まるで大地から養分を蓄えて自生する生き物のようにも、また、持ち主の意思を離れて行動を始めるゴーストマシーンのようにも見える、意外性の面白さ。ムーヴメントにみなぎる力の表現は、まさにスケートボード・カルチャーに根を張る彼ならではの持ち味で、災いの惨禍から立ち上がろうとする文明の力強さのアイコンとしても感応できるそれらの新作を、彼は今の日本で発表することにしました。


今回はそれらスニーカーやハイヒールを描いた最新作を展示・販売する他、ニュートン氏のこれまでのアーカイブからセレクトされたポートレート作品のペン画、複製画なども合わせて紹介いたします。靴と人物、そのふたつのモチーフの間で響き合う、彼独特の作法や本質を感じとっていただけるはずです。



マーク・ニュートン アーティスト


1973年、イギリス・バーンリー生まれ。リバプールのジョン・ムーア大学卒業。現在はパリをベースにアーティスト、グラフィックデザイナーとして活躍中。ファッションブランドの広告や「GQ FRANCE」などの雑誌、高橋幸宏、TURZIなどのCDジャケットを手がける。世界各地の個展、グループ展で作品を発表する他、ライブパフォーマンスも行う。日本では「SWITCH」誌での挿画連載を手がけた他、2003年にAnd A青山店にて展示イベントを企画。また、2010年にGALLERY SPEAK FORにて個展「Baussencs レ・ボーの人々」を開催した。


http://www.markenewton.org/


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2012.05.31 Thursday

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小岐須雅之 PHENOMENON


2012年6月22日(金)- 7月4日(水)11:00-19:00


乙女画の系譜を印象づけながら、キュートで少し毒気を放つ小岐須雅之氏の絵がまず注目されたのは、90年代後半のニューヨークでした。もともと服飾を学んでいた彼の絵は、ヘアスタイルやボディのフォルムが服飾デッサンのような程よい省略の美に通じ、ペンの筆致や水彩色のニュアンスも、メイクアップアーティストのような美意識を想起させるなど、アパレルと絶妙にマッチ。96年に渡米すると、たちまち彼にチャンスが与えられ、ファッション業界の話題となったのです。特にANNA SUIからはTシャツなどの商品や広告などに、まるでファミリーの一員のように継続して絵を依頼されるようになりました。


彼の絵に登場するミューズたちは、ワイルドでシュール。思い切った構想をエンジンに、細やかさとインパクト、西洋美とジャパニメーション的なクールさが出会い、カラフルに疾走するその奇想天外な描画は、まるで服のオートクチュールに似た発信力で、コレクターたちの間でも高い人気に。また京極夏彦、夢枕獏ら著名作家たちの書籍装画や国内外の雑誌を手がけるなど、小岐須ファンのクリエイターやデザイナー、編集者なども幅広いジャンルに広がっています。スマッシング・パンプキンズのギタリスト、ジェームス・イハによるブランド、Vaporizeとのコラボレーションも有名です。


本展は、5月にリリースしたばかりの初の画集「PHENOMENON −フェノメノン−」に合わせた個展。彼のこれまでの代表作の原画や複製画だけでなく、これまで展示したことのないスケッチなども含めて、大小約35点を展示・販売いたします。また画集の他、関連アイテムも販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
日時 : 2012年6月30日(土)15:00〜16:00 
出演 : 小岐須雅之、祖父江 慎(ブックデザイナー)



小岐須雅之(おぎすまさゆき)イラストレーター


1972年、東京生まれ。文化服装学院卒業後マーベルコミック社に勤務し、96年に渡米。98年に帰国すると本格的にイラストレーターとしての活動を開始した。97年より、ANNA SUIのTシャツや広告にイラストレーションを提供するなど、アパレル広告、書籍、雑誌、CDジャケットを多数手がけている。装画を担当した書籍に、京極夏彦「ルーガルー」(徳間書店、2001年)、夢枕獏「魔獣狩り」(祥伝社、2004年)などがある。また、2000年10月に、ニューヨークCatherine malandrinoにて初めての個展を開催して以降、精力的に展示活動も行っている。2012年5月、初めての画集「PHENOMENON −フェノメノン−」(飛鳥新社)をリリースした。


http://nardlab.com/


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2012.05.11 Friday

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buggy ICONS


2012年6月8日(金)- 20日(水)11:00-19:00


コラージュとアクリル画、2つの技法を両輪として駆使し、またそれらのミックスによってドライブ感のあるアートワークを展開しているのが、buggy氏です。ポップアイコン、フェイマスな意匠を溶け込ませたカラフルで遊び心溢れる絵の数々。猥雑なパロディ感覚を憎めない可愛らしさで包んでみせる、そのヒップな画風は女性ファッション誌などで高い人気を集めています。


得意とするモチーフは、メディアを通して広く時代を彩り、人々のミーハー心を刺激してやまないスーパーモデルやファッションデザイナー、セレブやヒーロー、ヒロインたち。それらに対し、グラフィティカルチャー以後のマナーを受け継ぎつつ、彼独自のウィット溢れるカットアップ感覚で強烈にレスポンスを打ち返し続けています。ゴシップがセンセーショナルに流布していくように、私たちのリアルな時代感覚を混ぜ返してしまうタイムリーな発信力も魅力。死滅したと言われて久しいサブカルチャーの、地下から突き上げるようなカウンターパワーは、今も彼の手元に温存されているのかも知れません。


本展は、buggy氏にとって東京での初めての個展。ファッションアイコンをテーマにした同名展は今春、大阪で披露され大好評を博しましたが、今回はレディースイメージだけでなく、メンズイメージも加えた最新バージョンで構成されます。原画作品とプリント作品を合わせて約40点を展示・販売する他、トートバッグやTシャツ、ZINE、iPhoneケースなどのオリジナルアイテムも販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2012年6月8日(金)18:30〜 入場無料
作品解説=buggy 聞き手=棟廣敏男(digmeout ディレクター)



buggy(バギー)アーティスト/イラストレーター


本名・谷口竜也。デザイン事務所勤務を経て、2002年よりbuggy名義で創作活動を開始。神戸ファッション美術館('05年)、大阪digmeout CAFE('06年)での個展を含め、国内外のグループ展でも精力的に新作をリリースしてきた。最近では「Numero TOKYO」「VOGUE JAPAN」「FIGARO japon」などの雑誌やCDジャケットでアートワークを手がける。UNIQLO CREATIVE AWARD 2007にて天野喜孝賞を受賞。若槻千夏のブランド「WC」のカタログや彼女の著書「うそつきちなつ」のアートディレクションも話題に。'12年4月、大阪 DMO ARTSにて「ICONS」展を開催した。


http://www.buggylabo.com/


「ARTISTS」に、buggyさんのインタビューを掲載。
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=f30


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2012.04.26 Thursday

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今城 純 earl grey


2012年5月25日(金)- 6月6日(水)11:00-19:00


数々のファッション誌のエディトリアル、ファッション広告などで活躍する今城純氏。彼の写真の最大の持ち味は、透明感のある優しいニュアンスで被写体を捕捉してみせる話法にあります。特別なギミックに拠ることなく、眼前にたたずむモチーフと光のテクスチャーとの静かな対話の中、言葉を超越したオーラの諧調へ耳を澄ます、そんなデリケートな写真術に多くのファンが引き込まれています。


その写真のエッセンスを、定期的に写真集の形でリリースしているのも彼の特長です。仕事を離れて未知の街へと旅に出た先、孤独になってひとり、日常へ向けられた遠景や近景の写真。生活のルーティンリズムの中で見過ごされがちな光景から、彼は映画のように深い幸福感から小さな美までを、レンズを通して丁寧に掬いあげてみせます。やがて、その流儀こそが、コマーシャルか自己作品かを問わずに通底している彼固有のメッセージであることに気づかされるのです。


本展は、今城氏が5月にリリースする新しい2冊の写真集のうち、「earl grey」(アールグレイ)から選りすぐった風景写真で構成するものです。昨年5月にイギリス・ロンドン近郊の田舎街で撮影したシリーズ。前作「over the silence」で見せたクールな北欧の空気感とは違った、可愛らしい英国調のウェイ・オブ・ライフがディテールに見え隠れする、ポエティックなイメージに癒されるような味わいを感じていただけることでしょう。約50点のプリントを展示・販売する他、過去の写真集、関連商品なども販売されます。


写真集「earl grey」「milk tea」2冊同時発売 発売日 : 2012年5月24日
定価 : 各2,940円(税込) 発行 : MATOI PUBLISHING



今城 純(いまじょうじゅん)フォトグラファー


1977年、埼玉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。横浪修氏に師事後、2006年よりフリーランス・フォトグラファーとして活動を始めた。数多くのファッション誌やアパレル広告・カタログ、CDジャケットなどを手がけている。写真集に「TOWN IN CALM」「ATMOSPHERE」「over the silence」があり、10年2月、GALLERY SPEAK FORにて写真展「over the silence」を開いた。


http://www.jun-imajo.com/


「ARTISTS」に、今城純さんのインタビューを掲載。
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=f29


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2012.04.17 Tuesday

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川久保ジョイ The Heaven Underground


2012年5月11日(金)- 23日(水)11:00-19:00


グラフィックとして冷徹に計算されたような海や空、大地の写真。天からの目で洗われた、大自然と人工構造物の奇妙なギャップ。川久保ジョイ氏の写真作品からは、繊細さと大胆さの両極から照らされたビジョンが、静かでドラマティックに見る者の胸に迫ってきます。ニュートラルで、複雑に混濁したカラートーンは目に染みいるように心地よく、まるでアンビエント・ミュージックに包まれる快楽にも通じる風合いを放っているのです。


スペインで生まれ、18歳まで過ごしたという川久保氏。彼の写真に張りつく無国籍な感覚は、かすかにズレをはらんだまま捨て去りがたい異邦人としての視線によるものかも知れません。自己陶酔のような私小説感を排して、自分の眼前に広がる風景に耳を澄まし、絵心豊かに普遍性を抽出し定着させていく、その新鮮な感性が今、美術界・写真界を問わず各方面から賞賛を集めつつあります。


本展は「空」をキーワードにした個展です。地表から見下ろせる階下の空間であるGALLERY SPEAK FORをヒントに、「地下に広がる空」の意味をタイトルに込めています。空虚なビル群を照らす空、海と交わるような空など、シルキーな色彩感も目に美しい風景図像のコレクションは、ガラス張りのギャラリー空間に見事に浮かび上がることでしょう。また自身にとっては「初心に帰り、地下から形而上学的世界へとつながる入り口を探るための地点。新天地に向けた原点回帰」という位置づけにもなる作品展とのこと。これまで未発表だった作品にも新たな視点を与え、リプリントに取り組むなど、大小20点あまりのプリント作品を展示・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2012年5月18日(金)18:30〜 入場無料
作品解説=川久保ジョイ 聞き手=渡邊英弘(アーティスト)



川久保ジョイ アーティスト


1979年、スペイン・トレド市生まれ。18歳で日本に移り住む。2003年、筑波大学人間学部卒。2005年に同大大学院を中退し、金融業界勤務を経て2007年より作品制作に専念し始めた。2008年に初の個展「明晰夢」(Gallery Punctum)を開催。以後、埼玉県立近代美術館「Images on twelve minds」(2011年)など企画展にも精力的に参画。「TAGBOATオータムアワード 2009」にて審査員特別賞受賞、「トーキョーワンダーウォール2011」にて入選。5月12日より、トーキョーワンダーサイト本郷にて個展「Speak the unspeakable」を開く。


http://www.yoikawakubo.com/


「@GALLERY TAGBOAT」のサイトに、川久保さんのインタビュー記事があります。
http://www.tagboat.com/contents/dna/interview/yoi.htm


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2012.04.11 Wednesday

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清水寿久 Scratch Nation


2012年4月27日(金)- 5月9日(水)11:00-19:00


人物をモチーフにした、朴訥なタッチで立体的なニュアンスのある絵。石膏を細く塗り固めたようなレリーフ、切り絵のようにも見えますが、実は色とりどりのイラストボードを切り剥がして、白い紙質を掻き出すように描くユニークな画法によるものです。いわば木版画にも似た逆転の画法と言えるでしょう。「ダンボールの表面が剥がれた面が顔や野菜に見えた」ことをヒントに、清水寿久氏が何気なく始めたというこの手法を、自らレターデーション・スクラッチ(位相差をこする)技法と名づけ、以後活発に制作活動を展開しつつ、様々な公募展で賞賛を集めてきました。


歴史上の人物や動物、童話のワンシーンなど、彼がまなざしを投げかけているモチーフは、カッティングによるナイーブな描線ゆえに、その佇まいを優しくシンボライズし、見るものの思索を深めてくれるような興味深い奥行きを秘めており、新しいグラフィックスタイルとして注目すべき成果を生みつつあります。絵具やインクによる絵では得られない、紙の温かみが感じられるのも特長です。


本展は清水氏にとって初めての個展。紙をスクラッチする手元から生まれた仮想国の登場人物が、次々にアイコン化していく様をタイトルにしています。この技法で描かれた代表作の他、最近取り組んでいる風景画の新作も合わせて、大小約35点を展示・販売いたします。



清水寿久(しみずとしひさ)イラストレーター


1969年、秋田県生まれ。中央美術学園、MJイラストレーション塾卒。写真や演劇、ダンスなど多岐に渡る創作活動を行った後、2002年よりイラストレーションを手がけ始めた。2009年より、イラストボードを切り剥がして絵にする独自のレターデーション・スクラッチ技法に着手し、書籍の装画や挿絵などを中心に様々な制作活動を展開。2010年、ザ・チョイス年度賞入賞。HB FILEコンペにて仲條正義特別賞、第9回TIS大賞も受賞した。装画を手がけた書籍に、森絵都「この女」(筑摩書房、2011年)、適菜収「いたこニーチェ」「脳内ニーチェ」(朝日新聞出版、2011年)などがある。


http://tosinks-0109.jimdo.com/


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2012.03.29 Thursday

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長場 雄 かえる先生といた夏


2012年4月13日(金)- 25日(水)11:00-19:00


トローンとしたゆるい笑顔と、とぼけた風体のカエルキャラ「かえる先生」。あえてアウトラインを曖昧にしたままの落書き調な筆致は、キャラクターらしくない、クライマックス感覚をオフにした新鮮なアプローチゆえ、逆に見る者の心に届き話題を集めつつあります。和洋いずれのテイストにも溶け込める柔軟性で、雑貨、アパレルやクッションなどへ今、急速に展開中。各地のイベント、オンラインショップでも好評を得ています。


その産みの親として知られるのが長場雄氏。ドローイングやペインティング、グラフィックデザインの手法を自在に使って、2D、3D、映像など様々な媒体を貫きリリースしていくスタイルは、グラフィティ・カルチャーのブレイクスルー感覚に溢れています。8年前、展覧会の準備で何気なく描いた「かえる先生」のラフスケッチが彼自身の心を捉え、様々なプロダクションやフリーペーパーでの4コマ漫画連載へと派生していきました。上から押しつけるキャラクターにはない、ストリートから芽生えてきたような成立背景もまた、常に男子のいたずらっぽさを絵の底辺に滲ませる長場氏らしい作法といえるでしょう。


今や長場氏のニックネームともなった、その「かえる先生」を、着想当初から現在に至るまでのアーカイブで振り返る初めての企画が本展です。過去のドローイング作品や4コマ漫画、グラフィック、クッションなどの作品を多数展示・販売する他、Tシャツや、がま口、ストラップ、スポークケースなど、現在入手できるほぼ全てのアイテムも一堂に紹介。「かえる先生」ファンにも、知らなかった人にも楽しめるピースフルな空間が構成されるでしょう。


【ギャラリートーク開催】
2012年4月13日(金)18:30〜 入場無料
作品解説=長場 雄 聞き手=マグナロイド(ミュージシャン/DJ)



長場 雄(ながばゆう)アーティスト/デザイナー


1976年、東京生まれ。東京造形大学卒業。キャラクター「かえる先生」の生みの親。4コマ漫画、グッズ、エキシビションなど様々な展開により人気を高めてきた。また、デザイナーとしてアパレルブランドへのデザインワーク提供や、PV、テレビ、雑誌、書籍などでイラストを手がける一方、アーティストとしても精力的に活動中。Star Graphicsの「Megane Zine」で作品を発表する他、同誌のグループ展「Megane Exhibition 2」(HVW8 ART+DESIGN GALLERY、LA)「Megane Thrift Store」(GALLERY TARGET、東京)にも参加するなど、コラボレーション、展示活動も多彩。


http://www.kaerusensei.com/

http://www.nagaba.com/


「ARTISTS」に、長場雄さんのインタビューを掲載。
http://www.galleryspeakfor.com/?mode=f28


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2012.03.15 Thursday

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大槻素子 ゆっくり動く


2012年3月30日(金)- 4月11日(水)11:00-19:00


頼りなげなロウソクの火が揺れるケーキ、パーティの断面。ハピネスの象徴のようなそのモチーフは、ふと距離感をとってまなざしを投げかける瞬間、人工的な色彩やデコレーション、奇妙なマナーによって支えられる空虚な側面をあらわにします。大槻素子氏が油彩で繰り返し描くケーキの絵は、そのような日常生活の表層に張りついた寂寥や静けさに満ちています。


彼女にとって絵は、まなざしの生態に寄り添うもの。事物をクリアに捉えるのではなく、思考や感情とひも付きになった目は「おおまかに、しかもゆっくり動きながら対象を捉えている、それを絵にしている」のだといいます。アブストラクト的な筆運び、クールなグレイッシュトーンの油彩は、そんな彼女の絵画観から派生しているのでしょう。ケーキや森の風景など、パーソナルな記憶から続く自分自身をとつとつと語りかけ続け、私たちの深層心理を呼び覚ましてみせます。


近年、個展やグループ展を重ねるたび、着実に注目度を高めている期待の若手画家のひとりですが、本展は彼女にとって1年ぶりの個展。まるでムービーカメラがパンしていくような動きのある言葉をタイトルに選びました。これまでの軌跡の紹介も兼ねて、アーカイブから自薦の油絵約40点あまりに、新作を加えて展示・販売いたします。また、ポストカードサイズで夥しい数を描いた「電線」シリーズを雑貨感覚で展開・販売いたします。


【ギャラリートーク開催】
2012年3月30日(金)18:30〜 入場無料
作品解説=大槻素子 聞き手=佐原和人(アーティスト)



大槻素子(おおつきもとこ)アーティスト


1979年、東京生まれ。2007年、東京造形大学大学院美術研究領域絵画専攻修了。大学院在学中に「トーキョーワンダーシード2006」にて入選し、注目を集める。翌'07年にも入選。個展「innocent bystander」(2008年、Galerie Sho Contemporary Art)「a blank」(2011年、HARMAS GALLERY)を開催するほか、多くのグループ展にも選出され参加している。


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